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『空気のつくり方』顧客満足に向き合う。

チームの成績が低迷しても、なぜ横浜DeNAベイスターズは観客動員数を伸ばし続けられるのか。

コントロールできない勝敗や天候ではなく、コントロールできる領域に全力を注ぐことでそれを成し遂げてきた。

『顧客に対するマーケティング』『組織に対するマーケティング』の2つ。

『顧客に対するマーケティング』

たとえ試合に負けたとしても、来場したこと自体で満足できるようなボールパークにすること。非日常の雰囲気で楽しかったという気持ちを持って帰ってもらうことに全力を注ぐ。

まず、マーケティング起点でしっかり考える。

・どんな時も応援してくれるのはどんな人達か?
・チームが低迷すると来なくなるのはどんな人達か?
・新規で来るのはどんな人達か?
・マーケットはどこで、市況感はどうなのか?

毎試合スタジアムに来て、ファンがワクワクドキドキするコトとは何か、その要素を捜し集め、分析し、戦略を立て戦術に落とし、実行する。

来場者を一気に増やすことは難しい。
まずはコミュニケーションをとれる母数をしっかり集めることが重要で、各種SNSのフォロワー数、メールアドレス、その他ログデータを取得し、日々丁寧にコミュニケーションをとっていくことが求められる。

その上で実践すべき、マーケティングの10プロセス。

1、アナログデジタル、様々なメディアから情報収集
2、自社の組織分析と市場分析、顧客分析
3、戦略ターゲットの策定
4、3が実は求めているインサイトをつく商品開発
5、ストーリーを創造する
6、広告、PR
7、デジタル活用
8、商品を通したブランディング戦略
9、PDCAを通して改善
10、営業戦略と連携する

これらの各アクションを通して、早い段階でまず小さくてもいいから目に見える結果を出すことで、社内の士気が高まり、今より挑戦する空気が生まれる。

小さな成功体験の積み重ねによって社員が自信を持ち、プラスの雰囲気が伝播していくことが理想だ。

データを集めて何をするのか。

顧客の心理や行動パターン、インサイトやニーズの把握など顧客を取り巻く空気を理解すること。
そのために膨大な顧客データを集める。

データを集めた次のステップとして、単純なデモグラではなく、ヘビー層(ベイスターズが趣味である人)、ライト層(野球観戦が絶対的娯楽ではない人)と分け戦略ターゲットを導き出す。
その時に、自分とは違って理解や想像の及ばない女性や10代、年配の方などはターゲットである本人に考えを直接聞くなどして、想像でペルソナを創ることがないように注意したい。

インターンの学生や新卒が活躍できる場所もここだと思うので、仕事のクオリティのコントロールはしてあげながら一緒にアウトプットをしていくことが大切だと思う。

またターゲット策定時にマーケットを狭めないこと。
いまの情報過多、娯楽も充実し不満の少ない時代、特定のスポーツ好きな人だけに絞ったマーケティングでは限界がある。
人は誰しもが娯楽を求めていくらかは遊びに行き、飲みに行ったり、映画を見たりしたいと考えるので、その遊びの選択肢にスタジアムにいくというのが候補に入ることが理想。

まずは選択肢の一つになるきっかけ創り、こういう選択肢もあるんだという空気の情勢と、その積み重ねで潜在意識に入り込み、いざという時に想起される。(想起率を高めるための情報接触頻度とクリエイティブも重要)

より広いマーケットに訴えかけるには、そのスポーツに興味は無くても楽しめる、興奮できる企画やコンテンツで”良い体験”をしてもらうきっかけ創りをどれだけクラブが大切と考えられるかも重要な要素となる。

そして大切な伝え方。
特に潜在顧客に対しては普通に告知しても響かないから、”誰が伝えるのか”や、”どんな想い”で”どんな事が期待できるのか”など背景にあるストーリーを伝える事が大切。

※参考※NFLエクスペリエンス

『組織に対するマーケティング』

そして、改革は1人では絶対にできない。
世の中にアウトプットする顧客に対するマーケティングだけでなく、顧客満足を創るために、戦える組織である必要がある。

そのために組織の空気を把握し、社内にどんな人がいて、どんなことを考えているのか、モチベーションなどを知ること。そのためのコミュニケーション。

1、スタッフ全員を対象とする
2、一対一で行う
3、時間は一人につき最低30分
4、年齢や肩書きが上のスタッフから行う
5、質問して聴くことに徹する
6、外見・評判は気にせず、自分と接したときの印象を大切にする
7、自分の好き嫌いでは一切何も判断しない

同じ方向を向いて、顧客に向き合って仕事の会話ができる仲間がどれだけいるかは重要。

また「ファンベース」でも大切とされているファンの創り方。まずは社員が最大のファンであること、誰よりも熱くチームのことやクラブの未来を語り、顧客に向き合う。そういう仲間を増やして情報発信の起点としてファンを増やしていきたい。

組織に向けたマーケティングの次のステップとしては、同じ顧客の方向をむくこと。
施策やクリエイティブのアウトプットのベクトルを揃えるため、戦略ターゲットの策定を行う。

横浜DeNAベイスターズでは、”アクティブサラリーマン”という戦略ターゲットを創り、更に広告においてはクラブを1人称とした一貫して変わることのないメッセージを発信し続ける。
その一貫したものを体現し続けてこそ、信頼が生まれ、ブランドとして生活者に認識される。アウトプットしているメッセージ、デザインは誰に向けてうっているのか、振り向いてもらうのは誰かを常に意識することが大切。

戦略ターゲットがあることで、広告のクリエイティブ、PRの文脈、SNSやホームページの運用戦略が決まってくる。

そして決めた戦略に基づいて数値化し、効果測定とPDCAを回す。

数値化することによって、スポンサーへ提供できる価値を換算できるようにし、様々なアクティベーションを根拠を持って提案できると思う。

ただし、現時点でスポンサーはCSR的な側面もあると思うので、露出を数値化し効果として提示したところで、広告換算値としては高くない可能性がある。
それでも数値化することでKPIを設けることができるので、より突き詰めて、お願いベースではなく共創していく仲間としてスポンサーとも向き合った活動ができると思う。

"顧客満足に向き合う"ことで、観客動員が増え、組織が活性化するなどすべてがうまくいく訳ではないとは思うけど、向き合うことで小さな成功が積み重なって様々な新しいアイディアが浮かび、より挑戦する風土ができていく。

またまた最後は関係ないけど地元の桜まつり🌸夜桜ver.

よろしくお願いします🙇‍♂️