ボードゲーム制作2.0
お久しぶりです。
ボードゲーム印刷所の中の人です。
ゲームマーケットも先月終わりましたね。
今年の振り返りをしつつ、近年のボードゲーム制作について私見を書いていこうと思います。なぜこれを書こうと思ったのかというのと、クリエイター様に知ってほしい情報がとても多いからです。個人的に仕事やお付き合いのある方々には話しておりますが、もっと多くのクリエイター様に知ってほしくて書くことにしました。見出しは以下です。
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①ボードゲーム制作の環境は2年で変わった
②ボードゲームの販売先の変化
③これからのボードゲームクリエイター
④これからのボードゲーム制作
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①ボードゲーム制作の環境は2年で変わった
ボードゲーム制作環境はこの2年で大きく変わりました。
コロナが大きいですが、コロナが特別大きな影響を与えたとは思っておりません、あくまでコロナは『向かうべき方向を加速させた』と思っております。
ですからまずその変化について話していこうと思います。この変化がわかっていないと、クリエイターとしての継続は少なからず難しくなる。そういう危機感すら覚えています。
今までボードゲームクリエイターの多くはゲムマを目標にやってきていいました。自作ゲームの即売会に10000人前後集まるこのイベントは、とても良い目標でした。コロナも開けつつあった2021秋は活気を取り戻しているように感じましたが、それでもコロナ前のような環境には戻らないと思っております。
その大きな理由は3つです。
1)ゲムマの縮小と試遊スペースの廃止
ひとつは試遊スペースの廃止です。エリア出展では試遊可能ですが、個人出展の試遊スペースはなくなってしまいました。エリアは可能なため2021秋では合同サークルでエリア出展するサークルも増えましたが、それでも以前のような会場全体で試遊して遊べる雰囲気は戻らないと思います。
2)デザインの向上
ひとつめに付随してふたつめの変化も加速しました。『デザインの向上』です。以前のように試遊を楽しむ雰囲気がなくなったり、そもそもの個人サークルの試遊スペースがなくなった為、『ボードゲームは見た目じゃなく中身だ』などよく議論になっていた流れが一蹴され、どのサークルもデザインの向上が見られました。やってもらえない以上仕方ないですね。
3)検索するユーザー
試遊スペースの廃止はクリエイターにはデザインの向上を加速させましたが、ユーザーにはデザインのよいゲームが増えて選べない事態を招き、ユーザーが事前に情報を得る『事前に調べたものを買う』という環境を加速させました。結果『知らないゲームは買わない』という現象が増えています。
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まとめ
①クリエイターの目標とするゲームマーケットという環境が変わった
②試遊を気軽に出来ないのでデザインが全体的に上がった
③デザインで選びつらくなりユーザーは事前に調べたものしか買わなくなった
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②ボードゲームの販売先の変化
販売にも大きな変化が起こっておりました。コロナで売れなくなった商品のかわりに『ボードゲームが量販店で販売を伸ばした』のです。
ボードゲームはこの2年で本当に多くの量販店様やその店舗に並びました。
ヨドバシカメラ、ドン・キホーテ、loft、東急ハンズなどはその半分以上の店舗にボードゲームコーナーが展開するようになり、
また、Amazon、ブース、ジェリカフェ通販、ボドゲ―マ、ヨドバシオンラインなど、オンラインでの販売先もとても増えました。
ゲームマーケットや、イエローサブマリン、すごろく屋さんなど専門店でのみボードゲームが販売されていたのは過去の話です。
弊社もボードゲームの印刷所ではありますが、量販店様への販売サポートは尽力いたしました。同人作品を多数量販店様に取り扱ってもらい、皆様の知らないところで2000~3000個売れる作品も多数生まれました。これはクリエイターにとってはとても夢がある話だと思います。
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まとめ
ボードゲームの販売先はオンラインもオフラインも飛躍的に増え、隠れたヒット商品も多数誕生した。
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③これからのボードゲームクリエイター
これからのクリエイターという話をする前に、近年増えているクラウドファンディングによるボードゲーム制作について触れておきたいと思います。
クラウドファンディングによるボードゲーム自体は海外のクリエイターの間ではもうかなり前から行われており、ボードゲームの制作において一種のスタンダードの一つになっております。どうしてもコンポーネントに費用が掛かるゲームを作る場合、その製作費はとんでもない事になってしまう、そんなゲームをある意味『事前予約販売』のような形で買えるクラウドファンディングは、クリエイター、ユーザー双方にプラスな事が多く、これにより数々の名作ゲームが毎年生まれております。
その流れが日本にもやっと来ている。という形になります。日本だとクラウドファンディングを広めている一部の層の為に少しネガティブなイメージも沸いてしまう事もあるクラウドファンディングを用いたボードゲーム制作は世界のボードゲーム制作のスタンダードの一つになっているのです。
これからのクリエイターについて
話を少し戻して、これからのクリエイターについてですが、結論から言うと
『趣味制作者が減少し、副業型や専業型の制作者が増える』
と思っております。趣味で作ってやっていくにはデザインや告知やいろいろ労力や実際のお金がかかりすぎます。しかしちゃん時間と労力をかければ、クラウドファンディングや、量販店やオンラインの販売、など、以前よりボードゲームで生計を立てる、きちんと利益を出す道は決して狭くありません。この点に関しては、私自身はとてもいい事だと思っております。
正直趣味で作り続けるには毎回20~100万くらいかかるボードゲーム制作は、コストがかかりすぎて、ほとんどの趣味制作者は続かなくなると思います。
いちユーザーとしてもせっかく好きになった作者が作るのを辞めてしまうのは悲しいですからね…。
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『趣味制作者が減少し、副業型や専業型の制作者が増える』
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④これからのボードゲーム制作
最後のテーマになりました。ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
これからのボードゲーム制作は非常にエキサイティングな未来を創造しております。
1)デザインの向上
デザインの向上は、今後も続くと思います。選べない問題をあげましたが、それは抜きんでていないからです。とびぬけたデザインは必ず選ばれます。『パッケージ詐欺』が横行するくらいにはデザインは今後も上がっていくと思います。その中で有名デザイナーの採用や、有名デザイナーやイラストレーターが作っているそんなゲームも増えていくと思います。
2)量販店にターゲットをおいた作品
これはもっと増えてほしい事ですが、量販店をターゲットにした作品が増えてほしいです。1000個売れれば凄い時代は過ぎました。10000個や20000個売れる作品もみなさんが思うより多く存在します。そんな作品を脅かす作品がもっと出てほしいですね!
100万人に届けるつもりで作っているような作品を期待しております☆
3)もっとアイディアにあふれた作品を
ボードゲーム制作はその作品以外にも実は多くのアイディアを必要とします。デザインも広報も制作費を抑えるのも、すべてボードゲームを作るアイディアの一つなのです。
もっというならチーム作りも、作品の二次展開も全てがアイディアです。そんなアイディアにあふれた作品が生まれる事を願っております。
またそんな作品が生まれる環境をこれからも作っていこうと思います。
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最後に
読んでくれてありがとうございます。今後も発信していきたいと思います。また弊社はボードゲームの印刷所です。ボードゲームの相談から印刷の相談まで何でも応えますので、制作の候補に入れて頂けましたら幸いです。
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