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物理療法(温熱)

温熱療法の中の生理学的作用についてまとめてみました!

ヒトは、生命を維持するために恒常的な体温管理が必要になります。
そのことは細胞や細胞外マトリクスの代謝活動のため必須となります。



【補足】

温熱刺激は痛覚の閾値を上昇できる。その機序として、温受容器の刺激によるゲートコントロール理論に基づいた抑制がある。
温受容器への刺激方法はスライドにある血管拡張作用をご参照ください。
血流改善による虚血由来の疼痛緩和や発痛物質の除去がある。また、温受容器刺激による交感神経系の抑制も疼痛の緩和に寄与する。
しかし、炎症によって痛みが生じている場合は温熱刺激により炎症反応を助長するため痛覚閾値は低下する。

ゲートコントロール理論について

以前のゲートコントロール理論
改訂後のゲートコントロール理論

電気刺激の統制として、神経直径の太い神経線維から神経活動を賦活する。ゲートコントロール理論では、感覚神経の中でも太い神経線維Aβ線維を電気刺激により活動させることで疼痛の伝導を脊髄後角レベルで抑制しようとするもの。
Aβ線維が活動することでその信号が求心性に伝導し、脊髄後角内で膠様質細胞(SG細胞)から痛みを伝導する伝達細胞(T細胞)に対し、シナプス接合部ので抑制(シナプス前抑制)をかける。これによりAδ線維・C線維から痛みの伝達が抑制され疼痛が減弱すると考えられていた。

※1992年に改正され、それ以降は脳からの抑制も機序に含むとされている。
改訂版では高次脳機能として認知制御・下行制御が明確化されている。
⇒ゲートコントロール理論はシナプス後抑制である。

過度な温熱による全身の症状

・脱水症:発汗が増加し、体液が不足することで血圧低下と貧血を引き起こ
 し、更に悪化すると熱痙攣へ移行します。
・熱発作:末梢血管が拡張し、貧血を起こしの王への乏血によって失神する
 場合があります。
・熱疲労:激しい疲労感・脱力・気分不良・不安・判断力の欠如といった
 身体消耗症状。
・うつ熱:生体内の熱が十分に放熱できず体温に熱が蓄積される状態。
・熱中症には安静・補液・冷却が必要です。

参考文献
奈良勲:標準理学療法学 専門分野 物理療法学、第5版第1刷、医学書院、2020。
土井篤:脊髄後角における感覚伝達とゲートコントロール理論を考える、保健科学研究誌Journal of Health Sciences No.14、pp17-27、2017。


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