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[NFL]カーク・カズンズのライバルたち

今オフのFAマーケットの主役のひとりとしてカーク・カズンズの名前を挙げることに異論のある人はあまりいないでしょう。
QBに課題を抱えているチームが複数あり、かつドラフトで有望とされるQBが何人もいたことで、「カズンズを獲得するのか?ドラフトに賭けるのか?」といった緊張感のある話題が毎日のようにニュースサイトに掲載されました。

が、プレイヤーとしてのカーク・カズンズに主役イメージを持っている人もまたあまりいないでしょう。
彼はその実績の割にどちらかと言えば地味な選手です。
彼がパトリック・マホームズやペイトン・マニング、ジョー・モンタナのように派手に相手チームディフェンスを斬り裂いたシーンはあまり思い浮かべることができません。
すでにベテランとなった彼のキャリアはどちらかといえば己との戦い、ポジションをめぐるライバルとの戦いでした。

ニック・フォールズ

カズンズ自身がライバルとして名前を挙げたことのあるこのスーパーボウルMVPとの争いはふたりがミシガンステート大学に入学したときにはじまりました。
カズンズは狭き門を潜り抜けて奨学金獲得をほぼ確実なものにしていましたが、フォールズが入学してきたことでこの奨学金の話は延期されることになります。

フォールズはその後別の大学へ転校したのち、フィラデルフィア・イーグルズからドラフトされます。
現役の大半を「並のQB」としてすごしますが、数年に一度思い出したような大活躍を見せることがあり、現役晩年にスーパーボウルMVPを獲得しました。

ブライアン・ホイヤー

ミシガンステートでの2年目を迎えたカズンズの前に立ちはだかったのがブライアン・ホイヤーです。この年、カズンズはホイヤーの控えとしてベンチに座り続けることになります。
ホイヤーはその後カレッジフリーエージェントとしてニューイングランド・ペイトリオッツに入団。ここで彼自身の最大のライバルとなるライアン・マレットとのライバルストーリーを開始することになります。

約15年にわたる現役生活で10回もの移籍を繰り返すミスター・ジャーニーマンのキャリアハイライトは2015年でしょうか。
この年、シーズン途中までヒューストン・テキサンズのエースの座をライアン・マレットと争ったホイヤーは最終的にエースに定着。評価の高くなかったチームを率いてプレーオフに進出しました。
その後2023年まで現役を続けています。

キース・ニコル

ホイヤーが去ったミシガンステート。カズンズはそのままスライドするようにエースになったわけではありません。
キース・ニコルとの激しい先発争いが繰り広げられ、そののちやっとカズンズはエースの座につきます。
このときチームがニコルを支持していたら、いまのカズンズの活躍はなかったかもしれません。

カズンズとの争いに敗れたキース・ニコルは、その年にワイドレシーバーに転向し、新たな才能を開花させます。大学でシニアまで活躍したのち、カレッジフリーエージェントとしてワシントン・レッドスキンズと契約。ここでカズンズと再会を果たします。
しかしその後試合に出ることなくいくつかのチームのプラクティススクワッドになったのち、現役を終えたようです。

RG3

ニコルとの再会の直前、2012年のドラフトでカズンズはワシントン・レッドスキンズに指名されます。指名順位は全体102位。4巡指名です。
この指名は少々驚きを持って受け止められました。というのもこの年のワシントンは全体2位でハイズマントロフィーウィナーの大スターであるロバート・グリフィン3世(RG3)を指名していたからです。

「ワシントンのエースはRG3、カズンズは良くてバックアップ」これは当時の常識でした。RG3は全米の有名人でしたが、カズンズの存在はフットボールマニアだけが知っているというような状況。
カズンズは同期の大スターの控えとして3年を過ごします。RG3はどちらかと言えばケガが目立つ選手でしたのでカズンズの出番が皆無ということはなかったのですが、この序列は約3年間変わりませんでした。

転機となったのは2015年。プレシーズンゲームでのRG3負傷により、開幕戦先発が濃厚になったカズンズはその勢いのままワシントンのエースの座を獲得し、その後数年をワシントン攻撃陣の大黒柱として過ごすことになります。

一方のRG3は前評判通りの活躍を見せることができず、何度かトレードを繰り返すもレギュラーに定着することなく引退。
もともと華のあるスターですのでテレビやポッドキャストのスターアナリストとして大活躍しています。

マイケル・ペニックス・ジュニア

カズンズが遭遇する初めての異世代のライバルです。
2024年ドラフトはQB豊作の年でしたが、その中で5番目か6番目の評価とされていました(結局QBの中では4番目に氏名を受けました)。

インディアナ大学でカレッジキャリアをスタートさせたのち、ワシントン大学に編入。ここで素晴らしいチームメイトと出会い、2023年シーズンにはCFPのナショナルチャンピオンシップにまでコマを進めます。
ハイズマントロフィーの投票でも大学史上最高位となる2位を獲得し、満を持してプロ入りしました。

大学での実績はカズンズより上、しかも12歳も年下です。
今年はカズンズのシーズンかもしれませんが、4年後のアトランタはペニックスのチームになると予想されていますし、期待されています。

カズンズはふたたびライバルとの、己との戦いに身を投じます。

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