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BMCクラシック2023を制したのは伊藤康晴!

年間成績上位5名だけで争われるBMCクラシック2023。2022シーズンよりスタートし、今回が2回目の開催。会場を霞ヶ浦トーナメントプレイスに移して行われた。一気に冬の様相となった霞ヶ浦を制したのは、参戦初年度にしてレギュラー戦第3戦を優勝、年間5位でフィニッシュした伊藤康晴選手。
そこでここではウィナーの伊藤選手をはじめ、クラシックに出場した5人の戦いぶりを、BMCスタッフの川口がお届けする。

5位 富村貴明 堅実なゲーム展開を見せたいぶし銀。

今シーズンよりBMCに参戦している富村貴明。第2戦からの出場ながら4戦すべてシングルフィニッシュ。どんな状況下でもしっかりスコアを得る「いぶし銀」の戦いぶりで、参戦初年度にしてクラシック出場権を獲得した。

富村はBMCクラシックの前週、B.B.Sクラシックにも出場。強い雨と風という厳しいコンディションのなかで行われたこの試合では、2日間、魚を手にすることができず、無念のゼロ申告で終了となった。

BMCクラシックでは気持ちを切り替え、花室川の河口および桜川の河口を主戦場に選択。朝はモーニングバイトに期待してスピナーベイトやクランクベイトでスピーディにチェック。シャッドや、要所では打つ展開も織り交ぜながら、キャストを続けたと言う。

「流入河川の河口で風や流れが遮られるようなところを中心に攻め続けました」と富村選手。前週の試合と比べると、朝は冷えたもののそこまで厳しくないはず、と予想。「必ず誰かが釣ってくる」という予感めいたものはあったと言います。が、残念ながら富村選手がウエイインすることは叶わなかった。

そしてインタビュー中、自分の釣りについてひと通り話したあと、「私の釣りの話はさておき」という前置きとともに話した始めた富村選手。
「優勝した伊藤選手のことは彼が若い頃から知っていて、本当に釣りがうまい。この強さには敵わないと思って、退いたトーナメントもありますから(笑)。でも、その強さが私たちオヤジを強くするんだ、とも思っている。腕前は本当に大したもので、いろんなところで『伊藤君はうまいよ』って言ってたもんだから今回、このようになって本当にうれしい。夢の大舞台に出ることになったら全力で応援するよ」と、表彰台で勝者にエールを送った。

4位 郡司 潤 最終戦優勝の勢いに乗って…

最終戦の2daysではいずれもリミットを持ち込み、唯一の7キロオーバーで圧勝した郡司潤。その際は前日のプラクティスからずっと釣れ続いていたと言い、プラクティスから本番までで軽く10kgを記録。さらに、このクラシックに向けた直前のプラクティスでも4バイト。釣り上げたかったが翌日のビッグタイトルのため、と自制しバイトをとるだけで収めようとしたものの「バイトが深くてなかなか離してくれなかった」と郡司。2週間前の最終戦からずっと、このパターンが力を持っていることを確信し、本番に臨んだと言う。

しかし…
そんな郡司の勢いを無情にもかき消したのは前夜の強風だった。メインに捉えていたエリアは北利根川と常陸利根川のアシ。それまでバイトを取れていたところで反応を得られず、焦燥に駆られ始める… そんななかでも貴重なバイトを得られたのは、前夜の風をプロテクトしている「風裏」側だった。

「同じパターンで行けるという確信があったので、次にシフトできなかった。それが敗因ですね」と振り返る郡司。ホグ系ワームのテキサスリグ(5g)をアシ際に入れるとファーストフォールでバイトするときもあれば、何度かリフト&フォールで誘って食ってくるなど、食う状況はまちまち。共通して言えるのはリアクションで、キモはできるだけアシから離れないよう、ラインスラックをうまく操ってリフト&フォールさせることだったと言う。

BMCレギュラートーナメント最終戦の圧勝を見ると、その勢いのままビッグタイトルも、という期待は風に流されてしまった…

3位 大石智洋 ダブルタイトル奪取の期待。

今シーズンのBMCレギュラートーナメントを制しA.O.Y.を獲得した大石智洋。週末のほとんどを霞ヶ浦で過ごし、プラクティスを繰り返すその実直な姿勢がようやく今年、実を結んだ。
最終戦では郡司・木村ペアと熾烈なデッドヒートを展開。優勝こそ奪われたものの、年間ダービーは寸でのところで逃げ切り、A.O.Y.のタイトルは死守。

大石も郡司同様、最終戦の勢いをそのまま維持できれば、A.O.Yに続くビッグタイトルを手にできるのではないか、と期待された選手の一人。当日は2週間前のパターンがまだ生きているのか、季節はどう進んだのかを実証すべく、スタート後は北浦最上流域の巴川へ一直線。開始早々にキロフィッシュのバイトを得たものの、痛恨のバラシ…

「郡司君の釣りに似ていて、私の場合はファットヤマセンコーのテキサス(4g)を吊るすんです。上下させると左右にイレギュラーダートする。このダートの動きが感じられなくなったらバイト。なんて偉そうなことを語っていますけど、2回しか掛けてないんで…」と自嘲気味に話す大石。巴川→八幡ワンド→巴川でファーストフィッシュは13時半だった。

「明らかに魚が減っていました。(魚探に)映る魚も少なくなっていたし。上流から魚が落ちてきて引っかかる、ちょうどいいタイミングが2週間前(BMC最終戦)だったんですね」と大石。この経験がまたひとつ、大石智洋を大きくしたことは言うまでもない。

2位 矢口悟司 頂点で誇示したい「地元の意地」。

伊藤康晴に280gで苦渋をなめた矢口悟司。直前3日間のプラクティスで見出した一筋の光明、それは石の間にノーシンカーを入れるとバイトが得られる、というもの。そこで思いつくすべての石積みや消波ブロックなどを回ったのだが矢口いわく「掴みきれていなくて、アタリはあるけれどイマイチ…」。しかし本番では「背に腹は代えられない」の思いで朝イチは大山スロープを出てすぐのところにある石積みへ。
「プラでも全部回って、夕方戻ってきてここはすぐ、ものの10分で釣れる。もうここに頼らざるを得ない、それぐらい困っていました」。

しかし、開始20分でブルーギルを釣った後は何もなく、シャッドやミノーに持ち替えるも無反応。冷えたことで石に入るかという期待もあったそうだが、固執することなく頭を切り替えて土浦へ。この時期、矢口のフェイバリットだというスイムジグに持ち替えて20分ほどで結果が出たと言う。

プロズスイムジグ3.5gと7gを使用う。トレーラーは
ヴァラップスイマー4.2とドライブシャッドSWを使用

「7gのスイムジグで1650gがきました。もうこれをやるっきゃねぇ、って感じでしたね」と矢口。似たようなエリアを回るもあとが続かず、戻ってきたところでバイトがあったのですがノラなくて… 3.5gに持ち替えてゆっくり巻いて650gを追加しました」。しかし、矢口の反撃はここまで。帰着時間ギリギリまで粘ったものの、あと1匹が出なかった…

「バスボートを購入して、トーナメントに出始めてまだ2、3年ですけど、来年は最低限、クラシック出場権を目標に、もちろんA.O.Y。も狙っていきます。霞ヶ浦で小中高と育ってきた地元の意地もありますから」と矢口。今シーズンは終わりましたが、瞳の奥の闘志は、すでに来シーズンを見据えているように見えた。

1位 伊藤康晴 完璧なゲーム展開、まさに「完勝」。

第2回クラシックを制したのは、こちらも今シーズンから参戦の伊藤康晴でした。長野から週末のたびにトーナメントに通うというハードスケジュールが思い出され、このタイトルを制した瞬間、感極まって涙が溢れた。

1週間前のプラクティスはかなり厳しかったものの、普段の釣りから趣向を変えてみたという伊藤。カバーをネコリグで釣るという得意なスタイルから、リアクションを意識してストンと落ちるテキサスに変えてみたところ、バイトが出たことが大きなヒントになった。

「この時期のカスミの経験が少なく、石や消波ブロックが釣れるって聞くけれど、得意じゃないんです。シャローカバーの釣りが好きで、得意で、誰にも負けないと自負しているんで、これで勝負しないとこの顔ぶれには勝てないな、と」。

しかし季節的に本湖のシャローカバーに魚はいないと読み、小野川へ。アウトサイドベントの、チャンネルができるだけ寄っているブッシュ。さらにササやイバラなど複合要素があるところを狙っていった伊藤。唯一となる3本・2580gを手にすることに成功した。

メインで使用したのはドライブビーバー3.5インチ。カラーはシルエットがはっきり出るエビミソブラック。つれない時間が続くと精神が蝕まれる、と言う考えから勝負どきと捉えていた10時までは時間を潰すように石積みなど本命外のエリアを回るなど、メンタル面でのアジャストも実践していた。

出典=O.S.P

「バスフィッシングと言う観点で言うと、完璧なゲームだった」と振り返る伊藤。レギュラートーナメント最終戦での失速を取り戻し、夢の大舞台への切符も手にしたのだった。

【Results】
1位 伊藤康晴 2580g / 3fish
2位 矢口悟司 2300g / 2fish
3位 大石智洋 770g / 1fish
4位 郡司 潤 540g / 1fish
5位 富村貴明 0g / 0fish

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