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「ジョブ型雇用」について考えてみた(1)

ジョブ型雇用の議論―現在
ここ2年くらいだろうか。日立製作所を筆頭に、ジョブ型雇用への転換を図るという記事をよく目にするようになった。従来のメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に転換することで、生産性を向上する・成果主義になる…云々と、ジョブ型が企業の競争力を上げるのだという旨の論調が多い。
 ジョブ型雇用に関して、「間違った理解」が広まっていることについては、濱口さんの『ジョブ型雇用社会とは何か』(を見れば良い。(し、いろんな人がnoteにまとめている。)また、初歩の初歩から「ジョブ型」とは何かを理解したい場合は、『人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~』もおすすめだ。
 ここでは、上記2つの本についてまとめるわけではなく、私がいつも感じている、「ジョブ型って、なんかうまくいかないような気がするんだよなあ…」という疑問について、私なりに考えてみたことを書いてみたい。
 
ジョブ型雇用(職務給)の議論―昔
 実は、ジョブ型に関しては似たような議論が約60年前に存在していた。60年前は1960年代前後くらいだ。つまり高度成長期真っ只中だ。日本企業の多くが成長し、そしていわゆる「メンバーシップ型」雇用が根付いた時期でもある。これはどういうことだろうか?私は疑問だった。
 そこで、色々と史資料を漁り、どんな議論が繰り広げられていたのかを私なりに見てみた。すると、現在のジョブ型議論と同じような問題意識を60年前に持っていたっぽい。となると、もう一個疑問がわいてくる。なんで、現代と同じような問題意識を抱えながらもメンバーシップ型になったのか?

次回以降の内容
 今回は、この「60年前も同じ問題意識を持ちながらジョブ型の議論をしたのに、なんでメンバーシップ型雇用になってしまったのか?」という疑問を出発点にして、2022年現在のジョブ型雇用の議論について考えていきたい。
 先ほどの『ジョブ型雇用社会とは何か』にも簡単には書かれているが、法制史や政府・日経連等での議論の紹介が多くなっている。そこで、このnoteでは具体例を用いながら、職務給がどのようにして変質してしまったのかを考えてみたい。

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