劇場版少女歌劇レヴュースタァライト紹介と感想

『「スタァライト」――それは遠い星の、ずっと昔の、遙か未来のお話。
この戯曲で舞台のキラめきを浴びた二人の少女は、運命を交換しました。
「二人でスタァに」「舞台で待ってる」
普通の楽しみ、喜びを焼き尽くして、運命を果たすために。
わずか5歳で運命を溶鉱炉に。
――危険、ですねぇ。
やがて二人は再会します。
一人は悲劇の舞台に立ち続け、もう一人は飛び入り、引き離され、飛び入り、
二人の運命を書き換えて……キラめきに満ちた新章を生みだしたのでした。
もう目を焼かれて塔から落ちた少女も、幽閉されていた少女もいません。
ならば……その新章の結末は?
「スタァライト」は作者不詳の物語。
キラめきはどこから来て、どこに向かうのか。
そして、この物語の『主演』は誰か。
私は、それが観たいのです。
ねぇ――聖翔音楽学園三年生、愛城華恋さん?』

https://cinema.revuestarlight.com より

テレビシリーズで鮮烈に視聴者に印象づけた本作であるが、劇場版では更に世界観がスケールアップしていた。
キャラクター達が魅せる白熱した展開に釘付けになり、スクリーンから目を離せなくなる。
劇場アニメという域に留まらず、もはや舞台演劇とも呼べるリアリティを見せつけて来る。

そもそも本作における大まかな設定が、ある学校に通う少女達がオーディションに挑みトップスタァなるポジションの座を取るべく舞台(レヴュー)を演じ、それに上り詰めると言ったもの。
劇伴や作中の楽曲も舞台の内容をブラッシュアップする様な宝玉の輝きをみせ、キャラクター達の動きも可憐で良い。
中にはユーモラスに駆け回るのもあったりと飽きが来ない描写も魅力的だ。

テレビシリーズでは在学中に巻き起こされる舞台が主軸となっていたが、劇場版ではこれからの彼女たちの舞台人生を説くものになっているのも印象深い。
第一本作のキャッチコピーが、

『私たちはもう舞台の上』

そして頻出されるセリフ…

『列車は必ず次の駅へ、では舞台は?私たちは?』

と、まるで長く続いていくであろう舞台人生と長距離を走り続ける列車を掛け合わせた様な意味合いを持つセリフに強烈なイメージを湧かせてくれる。

すぐに行き着いてしまう次の駅では窓辺の景色や旅情も何もあったものでは無いが、それが長距離となるとどうだろうか。
映し出される景色は一体とうなっているだろうか、旅先では何をしようか、宿に着いたらどう過ごすか、色々と想像を張り巡らせていくのも一興では無かろうか。

まるで彼女たちの舞台人生もそう言ったものになる。
どう言った役柄が舞い降りて来るだろうか、どの様に演技をしようか、どの様な舞台演劇をこなそうか、舞台に立つだけでも色々と想像して挑むのもこれまた一興と言う所だろう。

先に記したレヴューも非常に多彩である。
乗り込んだ電車が突然変形し、舞台のセットに早替わりしたり、京都の清水寺がモチーフになっているであろう場が舞台になったり、今年開催された東京五輪の様に競技をする事でレヴューの勝敗が決まったりと、描写転換がある度奇抜な映像で観賞者を愉悦に浸らせてくれる面白い場面ばかりだ。

終盤には東京タワーが真っ二つに分離し、頂上部が吹き飛ぶと言うスペクタクルが巻き起こる。

一体それらがどう言う意味をもたらしているのか、考察しながら観賞するのも面白いだろう。

本作はブシロード系のアニメという事で当方は当初、舐めていた。
どうせかわいい女の子キャラがキャッキャウフフしながらゆるりと舞台をこなす内容だろう…と。

しかし実際に観た印象は大きく違っていた。
人生観を説く様な場面であったり、明言しない事であえて抽象的な描写にし、それがどう言う意味を持つ場面なのかをつい考えながら観てしまう。
舞台に立つ事を人生観に比喩している見せ方も大変心を惹き付けるものになっている。

是非本作、劇場版少女歌劇レヴュースタァライトを観賞し、彼女たちの舞台人生とは何なのか、観ている側もどう言う風にそれを受け取るのか、様々な角度から捉えて楽しんで欲しい。

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