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山弦ツアー2023 アナオリベスト・発売記念ツアーですって! Billboard Live TOKYO 2023.10.1.

小倉博和と佐橋佳幸。
似通った点はあるにせよ、きっとそれぞれが持つ音楽性はハッキリしているだろう。そして、なんといってもギタリストである。パーマネントなバンドではなくスタジオ畑を中心とした仕事が多いため、その本質が可視化されることは多くはないかも知れないが、個性の塊といえる…いや、そうでないギタリストなんていないとぼくは思っているので、当然この二人もスタイルはまったく違うはずなのだ。

映画『音響ハウス Melody-Go-Round』が公開されたのはもう3年前

山弦のライヴは不思議だ。二人は個性をぶつけることもなく、お互いが自身の引き出しから出した持ち駒を組み合わせていくのでもなく、二人にとって確固たる存在である “ 山弦の音 “ のためにギターを弾いている…ように感じられる。小倉博和と佐橋佳幸でいるよりも、あくまでも山弦であることが第一…なんてことをぼくは思ってしまうのだ。

シンプルなステージ

この日はアナログで発売されたベスト・アルバムのツアーということで、オリジナル曲が中心。カヴァーも魅力があるが、オリジナルの聴き応えはその比ではない。飯尾芳史さんの素晴らしい音響の中、美しい音を存分に聴かせてもらった。「Coast To Coast」のようにお客さんが手拍子で演奏に参加した楽しくアッパーなナンバーもよかったけれど、「SONG FOR JAMES」や「春(SPRING)」「Life」のようなスローでミディアムな曲こそが山弦の魅力だ。

ライヴで聴く演奏はとても心地よい。バラードやミディアム・テンポはもちろん、たとえ変拍子でアップ・テンポな激しい曲も、すべてが心地よく耳と身体に入ってくるし、高度なテクニックであっても目の前でさりげなく披露されるので、ギターのネックやフレット、指に目が釘付けになるということは少なく、ただただ音を聴き、音を観ている自分に気付かされる。

二人だけのライヴはこれまで何度か堪能したので、いつかはバンド編成でのライヴも体験したい。そして、ここに書いたような音ではなく、ギタリストとして爆発した演奏を聴いてみたい。でも、それでもおそらく心地よいサウンドを鳴らしてくれるんだろうなぁ、山弦は。

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