【社会保険制度見直し】第二回在職定時改定制度の導入
この4月から段階的に社会保険制度の見直しが始まりました。大きく分けると以下の4点が大きなポイントです。
1.社会保険の適用拡大
2.在職定時改定制度の導入
3.年金受給開始時期の選択肢拡大
4.確定拠出年金の加入要件緩和
今回は「2.在職定時改定制度の導入」に関して説明します。
第一回の「社会保険の適用拡大」に関しては以下のnoteをご覧ください
https://note.com/bluesky_3515/n/n64d2b35ef182
1.在職定時改定とは
簡単に言うと65歳以上で厚生年金貰いながらも働いている人は、働いて収めた分の年金額を毎年10月に見直す(改定する)ことで多くもらえるようになる制度です。今までも働きながら収めた分は退職時にはもらえたのですが、高齢まで働くのに「退職後で反映されても…」って場合も多くなっているので年に一回反映させることになりました。
年金機構のページの図を参考にするとこうなります。
赤字の「在職定時改定」と書いてあるところが今回の新制度で変わるところです。黒字の「退職改定」は今でもあったのですがその前に毎年9/1基準日をベースに10月から年金が増えることになります。
これで国の年金負担は800億程度増えるという資産なので老後に働く人にはとてもありがたいですね。
2.厚生年金とは
そもそも厚生年金とはという部分にも簡単にふれておきます。
(1)厚生年金をもらえる人とは
厳密に言うと「厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所に常時使用される70歳未満の方」というような難しい表現になります。他にも色々条件がありますが、簡単に言えばそれなりの規模の会社で働くサラリーマンやパートで一定時間以上働いている人が該当します。
(2)厚生年金の保険料
厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。この「事業主が半分負担してくれる」ことにサラリーマン側には大きなメリットがあります。
(3)どのくらいもらえるのか
今回の改定で例えば65歳以降も月20万の給与をもらう仕事をしていたら、年間1万3000円程度増えることになります。この金額だけを見ると小さいかもしれませんが、死ぬまで一生貰い続けられるお金がこれだけ増えるのですからバカにはできない金額です。
3.まとめ
今回他の制度改正にもあるのですが、65歳以上の働き損をなくすことが一番の目的です。働きながら厚生年金を納めればその分年金も増えるので老後資金に困っていた人は資産形成に余裕ができますし、徐々に仕事を減らしたりすることもできていきます。
実際には労働人口が減っていくので少しでも働く人を増やして年金を納めてもらうための政策だとは思いますが、NISAなどと同じように老後資金を作る機会を国としては多く提供するという良い精度でもあります。
これからは「老後は国が面倒見てくれる時代は終わった」という認識をもって制度を理解したうえで自分なりの老後生活を考えていきましょうね。今回のnoteがその一助になれば嬉しいです。
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