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「できたこと」を数える

確かに身体は回復に向かっているのだけど、レンビマの副作用で何もできない日が続いている。
10から14mgに増やしたこともあるだろうが、倦怠感と腹痛に苦しみ、寝るか、本を読むか、テレビを見るか、それくらいしかできずに1日が終わる。

食欲はほぼ戻った。
一時期37キロまで落ちた体重も40キロまで増えた。
ただ、外が暑いこともあり、外出もしないから、運動不足になっている。
なんとかしないといけないと思いながら、これも何もできないまま日が暮れる。

通信教育のボールペン習字を始めたのはよかった。手の震えがおさまってからは毎日続けている。
長時間やると疲れるので、20〜30分くらいの練習を1日に2、3回やっている。
無心になれるし、文章を書くのと違って頭も心も使わないのでちょうどいい。
1日の終わりに「今日も何もできなかったな」と落ち込むが、「でも、ボールペン習字はできた」と、ひとつでも何であっても、「できた」と思えることがあるのが救いだ。

毎日、飲んだ薬と時間をつけている用紙の備考欄に、「今日やったこと」を書くようにしている。
どんな小さなことでも。
料理、皿洗い、床掃除、洗濯、花の世話、パンの仕込み、読書、ボールペン習字。
仕事でも何でもない、そんな日々の当たり前のことでも書く。それすら書けない日もあったから。
できなかったことを考えて落ち込むより、できたことを数えていこうと決めたから。

それでもやっぱり、1日の終わりには気持ちが沈んでいることが多い。明日こそは!と気持ちを切り替えて眠るが、翌日も同じで。

9日間、レンビマ14mgで頑張ったので、明日は休薬することにした。
そう決めただけでホッとする。明日が待ち遠しくなる。明日はもう少し何かできるはずだと期待が膨らむ。

生きているだけで幸せなはずなのに、人間(私)の欲は強いなぁと思う。
もし今の治療法が2年前に保険適用になっていなかったら、この3月から治療を始めなかったら、たぶん私の余命はあと2年くらいだったと思う。
どんどん悪くなっていくことを実感していたし、肝臓に転移したと2月に聞いた時には、このままだと死ぬな、と予感した。
治療がたまたま私に合っていて、奇跡的な回復をみせているけれど、いろんなことが少しズレていたら死んでいた。
そう思うと、今生きていて、良くなっているだけで十分なのだ。

わかっているけれど、何も生産できない自分がもどかしくなる。
もともとワーカーホリックだったし、寝ることが時間の無駄だと思っていたし、のんびり暮らしたことがなかったから、今の生活に慣れない。

と、こんな愚痴でも書いてみたら、気持ちが少し落ち着いた。
「書くこと」がいつも私を救ってくれる。親友みたいなものだ。
こんなものを読まされる人は嫌だと思うけど。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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