アルミ缶の上にwwwwww

アルミ缶のwwwwww上にwwwwwwあるwwwwww未完成の地図。

それは小学生だった頃、腕は細く、肌は浅黒く、ニカッと笑うと抜け歯が目立ち、いつもヨレヨレのタンクトップを身につけていた当時私の唯一の友人と描いた物だった。

小学生とは残酷な生き物だ。彼のそんな外見からクラスの多くは彼を"汚物"として扱い、席替えで隣になろうものなら女子は皆泣きだした。

彼はそんな境遇でもボロボロの歯で笑うのだ。困ったように、悲しげに。

彼もまた、私が唯一の友人であった。

彼の本来の笑顔はそんな悲しみに覆われたようなものでは無い。私の目の前ではいつも、隙間だらけの歯を剥き出し眩しく笑うのだ。

1度だけ家に遊びに行った事がある。

その家もまた彼の歯と同じくボロボロで、玄関に入ると彼の匂いをより強くしたかのような悪臭が漂ってきた。

散らかってるけど〜なんて困ったように笑う彼の顔なんか見たくなかった。

私は足の踏み場の無い、かつて客人を向かい入れる為にあっただろう部屋の真ん中に胡座をかいてドンと座り込んだ。

地図を描こう 

そう提案したのは私だった。

この劣悪な環境から抜け出すのだという意思表示か、はたまた単なる子供の気まぐれだったかは思い出せない。

彼は一瞬キョトンとし、みるみるうちに口角が上がり隙間がみえた。

それから夢中で描いた。

色鉛筆は無かったから全部丸く小さくなった鉛筆で。黒と白、時々規則的な青い線を交えて描いたその国はお互いの理想を交差した傑作であった。

何でもタダで買えるコンビニの隣には森林があり、そこではどんなレアな昆虫も必ず見つかる。森林を抜ければトンネルがあって、そこを潜れば過去へも未来にも行ける。勿論自分たちの家もある。トイザらスやマック、公園に囲まれた、最高の家だ。

時折お店の取り合いになりながら、折衷案を出す。結局2人の家は歩いてものの数分の距離になってしまった。

気づけば当たりは暗くなり、急いで電気を付けようとしたが何度紐を引っ張っても無反応であった。付け方が違うのかと、斜めに引っ張ってみた。

ごめん、うち電気付かないんだ。と恥ずかしそうに笑う彼。

うっかり口を滑らせ、さっさと電球を変えればいいのに…と言えば気の抜けたような声で笑う。

慌てて謝り明日もまた一緒に地図の続きを描く約束をした。今度は色鉛筆を持ってくよ、と一言添えれば薄暗い闇の中、太陽が見えた。



次の日、彼は学校に来なかった。

初めての事だった。

彼はどんな時でも学校には来ていた。

風邪の日も、嫌いな書道や図工の日も、クラスメイトに酷いことを言われた次の日でさえも。

何かあったに違いない。

放課後に様子を見に行こう。

そう決めた私は自分のパンをこっそりとランドセルに閉まった。


おい!なにやってんだよ!

低めながらもキンッと響くこの声の持ち主はこのクラスの中でも一際目立つ気の強い子だ。

その子は私の腕をガシリと掴み高く掲げた。

こいつ!パン持って帰ろうとしてるぜ!

賑やかだった空間が彼の一声でシンと静まり返り、次の声でざわめきへと変わった。

意地の悪いつり上がった目を見つめれば、心底楽しそうに弓を描いていた。

瞬間!光の矢が彼の眉間を貫く!

「ロックオン!照射ッ!」

光の矢は膨張し彼の頭を焼き切った。

残された身体は禍々しいオーブとなって突如現れた機械へと取り込まれた。

「…お待たせ!怪我はない?」

「えっ、あ、ううん、大丈夫。…もしかして…君って…!」

「ごめん、今は詳しい説明をしている暇は無いんだ!」

かつてクラスメイトだった魑魅魍魎が彼へ襲いかかる!

「チェック__________メイトだ。」


光は放射状に放たれ、悪しき者共の身体を焼き焦がしていく!

「そうか…きみは…対悪霊神巨大人型ロボットだったんだね…。」


優しい光に包まれ、目が、心が。

熱くなっていくのを…感じた。



アルミ缶の上にある未完




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