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レーズンバターの記憶


もう何年も口にしていないけれど,レーズンバターが好きだ。

幼少期,家に父がお客さんを連れてくると,お酒のお供に出たのがレーズンバター。器に氷を敷いて,切ったレーズンバターを並べる。
その時しか出てこない,特別な食べ物だった。
このレーズンバターが私はとても好きで,残ったら確保して食べていた。
パンに塗るためのバターをそのまま食べる背徳感。

大人になって,家を出てからふとスーパーで見かけて買ってみた。
バターの油とレーズンの甘さが重たくて,昔ほど特別感を感じなかった。
昔は角砂糖そのまま食べたりしてたからな。。。

幼少期にお客さんがくると,黒に金色のラインが入ったコーヒーセット,サイフォンのコーヒー,おしぼりと藤で編んだおしぼり置き,おしぼり置きとセットの藤とガラスのコースター,ステムが人の形になっている不思議なワイングラスなど,普段使わない,お客さん用食器棚からいろんなものを出しておもてなしをしていた。

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