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いつも同じ話をする先生

長女と話していて思い出したこと。

いつも同じ話題をする先生がいるので,授業じゃなくてその話しか覚えていないよ,と長女が愚痴を言っていて思いだした。

大学1年のドイツ語の先生。私はドイツ語既修者だったので,その授業の大半は2年生が受けていて,私の他の一年生は付属校出身の数人くらいだった。

40代くらいの男性の先生だった。毎回必ずする話があった。「ホイリゲ」のこと。ドイツのワインの新酒を指す。ドイツに留学していたときの話は決まってこのホイリゲだった。

ワイン新酒での収穫祭。ワイン畑の真ん中に,農園風レストランがあって,そこでしこたまホイリゲを飲む。そんなイメージをその先生から植え付けられた。ドイツに行ったことがなかったし,ドイツと言えばビールのイメージだったので,最初は全くイメージが湧かなかったけど,繰り返し語られるホイリゲに,どんどんと想像がふくらんで,自分もその農園風レストランでホイリゲを飲んでいる気分にすらなった。

その後ドイツに行ったけど,あいにく真冬だったので,秋のワイン収穫祭のイメージはやはり想像のままだった。よく考えてみると,その先生がドイツに留学していたのって,10年以上前の話ではないか。それでも生き生きと毎回話してくれた。

他の授業内容はほとんど覚えていないけどこのホイリゲだけはいまだに覚えている。あと一つドイツ語で印象的だったのはロマの話くらいか。

もう一つ。

高校3年の政治経済。老先生は,授業の最初に,黒板の左上に小さく「東欧革命」と書く。

板書はそれだけ。最後までそれだけ。

授業の記憶はあまりない。東欧って言われてもイメージが当時は全く湧かず。(その後東欧に縁のある大学ゼミで東欧に行くとは意外な巡り合わせ)

東欧革命は大事,ってことだけが印象にあった。

東欧革命は,冷戦終結,ソ連崩壊につながるかなりエポックメイキングな出来事で,当時はその激動が終わってはいたけどまだ興奮冷めやらぬ時代で。民主化とは,とかそういった方向の話をしてくれていたのかも思い出せない。ただ東欧革命。

今から思えば,先生としては教員生活の最後のほうにこんな歴史の劇的変化があってそれを伝えたかったのだと思う。あんまり伝わらなかったけど。

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