どこでもドアとタイムマシンは同じ原理

どこでもドアもタイムマシンも、どちらもワームホールを基礎とした技術である。シミュレーション仮説は計算論的物理学とも言える。即ちプランク格子への書き込みにより真空を物質へと相転移させる。全く同じ原理で因果律も伝搬する。計算論的物理学(計算科学・数学)が物理学の上位概念であり、物理法則がコーディングにより与えられているのだとすれば、どこでもドアは物質を転送したり空間を歪めたりする技術ではない。それは空間上の座標によって表される一定範囲内のプランク格子群の振動状態をあるボクセル群から別のボクセル群へと転送する技術である。これはディスプレイ上の映像転送と本質的に何ら変わりない。3次元空間上の情報転送を4次元時空に拡張したものがタイムマシンである。

プランク格子への読み書きはどうやって行っているのかという疑問が湧く。メモリやディスプレイ装置のようにワード線やビット線は存在しないだろうが、任意のプランク格子と量子もつれ状態を作り出す機構があれば、そのペアを操作すればいい。宇宙が量子シミュレータというデバイスだとするならば、言わばホストPCのような存在である。非常に俗物的な例えを持ち出せば、このホストPCのコードを書いているのがシミュレータの外のプログラマ、つまり我々人間からすれば神である。

計算論的物理学によれば、宇宙は創造されたのではない。それはテレビの中に実際に人が入っていないのと同じ事である。ブラウン管や液晶ディスプレイはテレビに電源が入る前から存在している。つまり真空は所与のものであるとする。テレビの電源を入れた瞬間にブラウン管内部で電子銃から電子線が放出され、あるいは液晶ディスプレイのバックライトが点灯するのである。これがビッグバンである。ピクセルを無点灯状態から点灯状態に変化させた、つまりプランク格子を真空の振動状態から物質の振動状態に変化させただけである(波動関数にディラック演算子を適用し半整数スピンを取り出す)。これを真空から物質への相転移と呼んでいる。テレビの場合はフレーム間に連続性を持たせる必然性はないが、宇宙の場合はプランク格子の遷移に関して質量保存則や光速普遍などの物理法則や因果律に従った連続性を持たせなければならない、というかそういうルール(設計とコーディング)の下に成立しているのが我々の住む宇宙である。

再帰的に考えれば、シミュレータの外のホストPCのコードを生成するコードが存在する。それらは例えば円周率のような最初のマスタコードからフラクタル的に生成されているのかも知れない。人類も量子もつれを使ってプランク格子を操作する技術を開発すれば、真空からビックバンを起こせるし、その宇宙の生命からすれば創造主という事になる。

無限を種とし宇宙は再帰的に生成される。

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