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嬉しい悩み事

海外に行く前には、一円でも多く貯金ができるようにケチケチ生活をし、カナダに行ってから更に極貧生活を続けた私だったが、英会話学校へ勤めるようになってからは、少し気持ちを切り替えた。
お給料は好きなように使って、余った分を英会話学校の開業資金にしようと思った。何年かかったとしても、もうケチケチ生活にはうんざりだった。

ということで、仕事をして、同僚と食事をしたり、休日は遊んだりと、初めて人並みの社会人生活を平穏に続けた。
子どもクラスの教え方には進歩はなかったものの、その他は何の悩みも不安もなく、毎日を送っていた。

そんな時に限って、夢のような話が私に舞い降りてきた。
以前は転職したい、学校に行きたいと思っても、どれもこれも行き詰まり、苦しんでも前に進めない日々だった。そして、亀のようにノロノロと一応は前に向かって歩き出し、あと数年で(あのペースだと10年は軽くかかっていただろう)自分の英会話学校への扉が開かれようかと思われた時、その電話はかかってきた。

それは広島の自動車部品メーカーの人事部長からだった。
要約すると、その会社のカナダの工場で通訳が必要なのでどうか? というお誘いだった。
何故そのような話を頂いたかというと、カナダの剣道友達のJanetがその工場のある町に住んでいた。
日本から出向していた方の息子さんが道場に通っていて、私がそこに遊びに行った時に一緒に剣道をして知り合いになった。

その後、前任者が辞めるので私の名前を出してくださったのだった。
私にとっては、もったいないような話だった。ただ、その時は落ち着いて仕事が出来ていたし、入社して7ヶ月で辞めるのはとても気が引けた。悩みまくっていたら、Hilaryが丁度その時来日していて、またもや私の背中を押してくれた。
一通り私の気持ちを確認する為、質疑応答を繰り返した後、彼女は言ってくれた。
やらずに後悔するよりも、万が一ダメでもやって後悔した方がいい。
やってみないと一生、どうだったのかな? あの時あの道を選んでいたら? と後悔するだろう、と。

その瞬間、私の気持ちは決まった。

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