恐怖の魚釣り

カナダについて間もなく、JacquiとJacquiの彼Edがキャンプに連れていってくれた。目的地に着き、夕食の準備までには時間があったので、湖で魚釣りをしようということになった。カナダの湖は海のようだった。

Edは私にやり方を教えてくれた。それじゃあ、と釣り竿をふり、釣り糸と重りを投げ込んだ。魚釣りはあれが最初で最後だったので、なに釣りか等は全然わからない。とにかく遠くをめがけて竿をふった。次の瞬間なにがあったかわからなかった。ブーメランのようにその釣り針と重りは私の方へ戻って来て、私の瞼につきささったのだった。慌てたJacquiとEdは私を毛布にくるみ、車に乗せ、救急病院へと運んだ。短い道中だったが、心配が頂点に達したからか、私の瞼についた物が気持ち悪くてたまらなかったのかJacquiは気分が悪くなり、車を止めてゲロっていた。それでもなんとか病院へ辿り着き、私は手術台に乗せられ、ほんの3分位でお医者さんは上手に針をとってくれた。私の瞼にはよく見ると小さな穴があいていた。幸い目には傷ひとつついていなかった。私たちの魚釣りはほんの5分で終了し、2度と魚釣りをすることはなかった。この先も、魚は食べても一生魚釣りだけはしないだろう。

その後Jacquiは、あの恐怖の重りをお守りがわりにずっともっていて、時々私に見せてくれた。

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