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ポインターシスターズ 〜カナダアジア人編〜

夏休みが終わり、学生生活2年目に突入した。私は相変わらず頑張って勉強を続けた。1年生の時のように時間はなかった。友達と遊んだり剣道をしたり、パーティーに行ったりで結構忙しかった。それでも誰よりも真面目に勉学に取り組んでいた。

そんなある日、学校で口パクコンテストがあった。同じ授業を受けていたNellieとNancyは何故か私を誘ってくれ、3人で口パクコンテストにでることとなった。
それから私たちは多忙な日々を過ごした。まず、3人で集まってはポインターシスターズのビデオを見ながら、振り付けを練習した。ポインターシスターズは一世を風靡した3人の黒人女性グループだ。I'm so excitedという大ヒット曲の振り付けを、私たちは来る日も来る日も練習した。

最初は笑いながら和気あいあいとしていたのだが、そのうち皆本気になってきて、一人が間違えたりしたら誰かがむっとするのだった。
私はドキドキしながらも、必死にポインターシスターズに少しでも近づこうと練習に励んだ。
口パクコンテスト当日、私たちは事前に入手しておいた、アフロのカツラをかぶり、顔には黒に近いファンデーションを塗りたくり、3人でお揃いの黒のスカートのスーツを着て晴れ舞台に立ち、ガンガンに歌が流れる中、力の限り熱唱するフリをしながら、踊りまくった。

曲が終わると大歓声の嵐だった。冬だというのに汗が頬をつたって流れた。残念ながら私たちは優勝には一歩届かず、2位で終わった。
ここでも賞金は手に入らず名誉だけをもらう事になった。貧乏な時はとことんお金に縁がないものだ。

何年もたった今でも、あの曲を聞くと、体が小刻みに動きだしてしまう自分を止められないでいる。

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