誰にだって、自分だけの物語がある。涙や汗で滲んだページだってある。空白ばかりのページだってある。全部ひっくるめて、その人の物語だ。命だ。だから私は、誰も手に取らない本も手に取って、皆が読み飛ばすページも時間をかけて、全ページ余さず読んでやりたい。最後は優しく、背表紙に手を添えて。