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レコードレーベルあれこれ~個人研究のまとめと疑問点~第7回

泉谷しげるのレーベル移籍変遷にみるレーベルデザイン(6)

アナログ・レコードの中心部にある丸いレーベル。
そこにはいろいろな情報が詰め込まれている。

泉谷しげるがワーナー傘下のアサイラムからアルバムを発売していた時期と重なるが、渡辺プロダクション、トリオ、西武百貨店の三社で1978年に設立したSMSレコード(サウンズ・マーケッティング・システム)から、泉谷しげる関係のレコードが数枚発売されている。
下記4枚はエレック期のライブ音源ばかり。

①『泉谷しげるライブ サブ・トータル』(SM38-4001~2)1978年12月
②『唄の市 泉谷しげる VS 古井戸』(SM38-4012~13)1979年5月
③『唄の市 Second』(SM38-4037~38)1980年2月
④『唄の市 Third』(SM22-4039)1980年4月

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レーベルの基本デザインは黄色ベースに大きな文字で上段にSMSの文字。何故か右側にもロゴっぽいSMSのマークが入っている。

この時期、SMSレコードは、はっぴいえんどなどURCレーベルの復刻も行っていた。(URCもいつか取り上げたいとは思いますが、いかんせんオリジナルを1枚も所有していないのでいつになることか…。)

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はっぴいえんど『はっぴいえんど(通称:ゆでめん)』(SM20-4126)1980年7月再販(オリジナル1970年)

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はっぴいえんど『風街ろまん』(SM20-4127)1980年7月再販(オリジナル1971年)

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ジャケットにはURCとSMSのロゴが並んでいます。これを見ると基本レーベルデザインにあった右側の方がロゴだったんですね。

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URCレーベルには統一なレーベルデザインはなく、すべてがカスタムデザインだったと聞いたことがあります。この2枚の再発盤のレーベルデザインが同じことから、SMSから再発されたURCレーベルに共通なものと思われます。

渡辺プロダクションはSMSレコードの設立時にワーナーパイオニアの資本から撤退し、渡辺音楽出版が原盤制作したワーナーの音源の発売権をSMSに移行させた。

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アグネス・チャン『AGNES IN WONDERLAND(不思議の国のアグネス)』(SM25-5006)1979年4月
これは隠れた名盤で全曲タケカワユキヒデ作曲・ミッキー吉野編曲のトータルアルバム。ゴダイゴの『西遊記』(1978年)と『OUR DECADE』(1979年)の間に位置し、サウンド面でもゴダイゴによる演奏なので全盛期のゴダイゴ・ワールドが楽しめる。

SMSレコードの背景には、渡辺プロダクションの権利問題が見え隠れしており、1988年には渡辺プロダクションと文化放送などが出資するレコード会社「アポロン音楽工業株式会社」に組み込まれてしまう。

フォーライフのようにアーティストの権利というものから発生したレコード会社もあったが、プロダクションの権利を追求した形でのレコード会社もこの頃には存在していたんですね。

(第7回完)

※かつて会社のホームページで社員が自由テーマでブログ発信をしていたことがあり、その時に私が書いた内容を改編・加筆したものです。