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レコードレーベルあれこれ~個人研究のまとめと疑問点~第14回

日本コロムビア発売の邦楽LP 盤第1号を入手

アナログ・レコードの中心部にある丸いレーベル。
そこにはいろいろな情報が詰め込まれている。

前々々回(第11回)で日本で最初のLPレコード登場について触れました。その際に国産初の邦盤LPが1953年に発売された旨も記載いたしました。
その国産初の邦盤LPを入手することができました!

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芳村伊十郎『長唄 越後獅子/長唄 浅妻船』(BL 5001 )

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ブルー地にシルバーの文字ではあるが、第11回で紹介したWL-5004品盤のマスターワークのベタなブルー地ではなく、まだら模様のあるような地色が特徴。さらにDGの枠内に上下で別れる囲い枠も存在しています。サイズは12インチ。

この品番のものはなかなか市場ではお目に掛かったことがない。一般社団法人日本オーディオ協会が創立 60 周年記念で制作した非売品CD盤の解説書(参考:日本オーディオ協会)によれば、国内録音初の LP盤ということらしい。つまりSP盤の音源を再利用ということではないということです。

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第一回発売の同時発売カタログは『常磐津 将門(忍夜恋曲者)』、『雅楽 蘭陵王・環城楽』、『浪花節 新版 石松三十石道中(前後篇)』だったそうです。当時のチラシも入手しました(レコード盤より落札価格が高かった…厳しいっ!)。

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このチラシを見ると、『長唄 越後獅子/長唄 浅妻船』にはBL-5001の番号が振らており、『雅楽 蘭陵王・環城楽』にはBL-1、『常磐津 将門(忍夜恋曲者)』にはBL-2(参考:Discogs、レーベル面参考:Discogs)、『浪花節 新版 石松三十石道中(前後篇)』にはAL-1とAL-2が割り当てられていたということがわかります。また、チラシに載っている4品目がどれも純邦楽のものであり、1949年には既にデビューしていた美空ひばりさんの歌うような流行歌が選ばれた訳ではなかったというのも気になるところです。

それまではSP盤が主流だった日本においてアルバム(ヒット曲集)という概念はなかったのだろうとは想像が付きます。故に両面にまたがっていた長唄を片面に収録という長時間録音の長所を活かす選曲がなされたのではないだろうか。

疑問としてはAL品番とBL品番の使い分け、そして同じBL品番でありながら5000番台と1桁番台の使い分けがどういうものであるのか想像がつきません。

ちなみに美空ひばりさんの公式ウェブサイトのディスコグラフィーを見てみると1954年に10インチ8曲入りのLP盤「美空ひばりヒット・ソング集」(AL-4)が発売されていることがわかります。憶測に過ぎませんが、BL-2も10インチであることから、1桁番台は10インチ盤で、5000番台は12インチ盤なのではないかと思うのですが、根拠がありません。いつかこの辺りの謎も解明したいものです。

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そしてチラシにある「プレヤー(原文ママ)」の広告にある「3スピード」とは33回転(LP盤)、45回転(シングル盤)、78回転(SP盤)ともに聴けるということだったんでしょうね。大卒初任給が約1万円だった時代ですから高価なものであったことが窺えます。

では今回はここまで。

(第14回完)