古い音・古くない音④

ピアノ、ストリングスと、比較的古くなりにくい楽器を取り上げて来ましたが、クラシックで使われる楽器が必ずしも古くなりにくい訳ではありません。

金管は時代性が出やすいんですよ。

これは時代と共に使われ方が変わっている、という要素も大きいのですが、それ以上に、やはり目立つ音だからです。

むしろこれはクラシック以外の音楽での方が顕著に出ると思います。

決して金管はクラシックの主役、という訳ではないですからね。

昔の歌謡曲が古く聴こえる大きな一つの要素は金管にあります。

きらびやかだから派手に使うんですよね。

特に昔の歌謡曲だと貧乏根性と言ってもいいと思いますが、編成に組み込まれた楽器を全部使おうとするから、否が応でも目立ってしまいます。

使わないのも使うことだということが理解されていなかったのでしょう。

後吹奏楽が日本で盛んなことも影響していると思います。吹奏楽って管楽器がメインで弦楽器は入らないようなイメージがあるけれど、それって別に決まった話ではなくて、日本固有の話です。もちろん管楽器が重要であることは言うまでもありませんが。

日本の場合吹奏楽が盛んですよね。学校教育の影響が大きいと思います。吹奏楽部がある学校が多いですよね。当たり前ですがオーケストラのある学校はほとんどないでしょう。それが先ほどの「編成」の話に由来していると考えています。

部活動でやる以上、あまりパート数を増やす訳にはいかないですからね。だから管楽器+αという編成を取らざるを得ません。

で、この編成だと音が立ちやすい金管とサクソフォンが重視されやすいんですよ。静かな音楽より派手な音楽の方がインパクトが強いので、どうしてもじっくり聴かせる音楽よりも、インパクトの強い作品が重視されやすくなります。

こうして派手な金管の音に慣れてしまうと、金管とはこういうものだ、ということが意識の有無にかかわらず、頭の中に入ってしまうんですよ。

だから金管は派手に使われやすいし、その分時代に左右されやすいのかと。

もちろんこの現象は楽器の特性による影響による部分も大きく、日本に限った話ではないのですが、特に日本で顕著な現象だと考えています。

また、ポピュラーでも金管を多用すると古い音になりやすいでしょう。これまで書いてきたことを考えれば自明のことです。


ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。