古い音・古くない音⑬

昨日では個々の楽器の音について書いてきましたが、もちろん音が古いか古くないかは楽器だけで決まるものではありません。

やはりアレンジの影響は大きいでしょう。

なので「古いアレンジ」ということについて考える必要があるように感じています。

ただ嫌いな曲は聴く気が起きないので、曲はいいのにアレンジで古くなっている残念な曲を元に考えてみたいと思います。

で、取り上げたいと感じたのが竹内まりやさんの「象牙海岸」です。

この頃は竹内まりやさん、自作曲はあまり歌っていなく、この曲も林哲司さんの曲です。

曲自体は実に良く出来た曲だと思うんですよ。アルバムの中の作品ですが、林哲司さんの代表曲と言ってもいいかもしれません。

「SEPTEMBER」もイントロのギターのカッティングからして今ではありえないようなアレンジですが、「象牙海岸」よりはずっと古くない。ちなみにどちらも編曲も林哲司さん。

イントロの出だしはそれほど古くないです。エレピ系の音とピアノの音が同じ旋律を奏でるのはやや微妙、ストリングスはさらにもう少し微妙に古く、途中のコーラスがかなり微妙ですが、これなら「SEPTEMBER」より古くない。

で歌が始まった後、ギターの音であれ?、って思うんですよね。

林哲司さん、あまりギターの入れ方が上手くないのかなあ。

古くならないはずのストリングスも入れ方が微妙に古いんですよね。

で極めつけが今ではありえないあのコーラス。

滅多に古くなることもないフルートですら古い。なんであんなに刻んで吹くのかさっぱり分かりません。

間奏の刻んでいる金管がまた古さを増幅させてますよね。

メロをそのままストリングスでなぞるのも?です。

で、80年にもかかわらず、なんでこの古さが生み出されたのかをもう一度考えてみました。

①ストリングスの使い方

②リズムの刻み方

③コーラス

の三点に集約されるように感じます。

まずストリングスは基本対旋律を形成するために使うのが一般的な使われ方であるのに対し、メロをなぞるように使うと「稚拙」に聴こえやすいので、ここぞ、という所にしか使わない方がいいでしょう。

次にリズムの刻み方ですが、特にバラードだとリズムを細かく切りすぎると曲の流れを阻害するので、要所要所で使う位にしないと今の音楽にはなりません。

どのパートもこの曲、結構刻んでいるんですよね…。

コーラスは言わずもがなで、意味不明な「言葉」を付ける、今ではこんな作品はほぼないでしょう。

「ドゥワ」なんてコーラス、今ではありえません。

音を古い、と思うにはそれなりの事情があるんですよ。



ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。