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母への恩返し

5年前、63歳だった母がうつ病になった。
それまで優しかった母から笑顔が消えた。
奇妙なことを口走るようになり、会話のキャッチボールも困難になった。
自殺未遂もするようになり、急いで精神病院に行き、入院した。
自殺の恐れもあるため、1日目は閉鎖病棟だった。
翌日から普通病棟に移り、投薬治療が始まった。
1ヶ月ほどで退院したが、支離滅裂な考え方は変わらなかった。「ガスを病院にばら撒いてしまったから、私は警察に捕まってしまう。」というようなことを言っていた気がする。
掃除や洗濯を一切しなくなり、自分の着る服の管理も出来なくなってしまい、「着る服がない。」といつも言っていた。貧困妄想にも苦しんでいた。

お風呂に入ってもお湯につかるだけで、体や髪を洗わなくなってしまった。今では、週に一回デイサービスで介護施設に行き、お風呂に入れてもらっている。

5年前、うつ病というものがどんなものなのかよくわからず、母親の異変になかなか気づけなかった。
うつ病により母からは笑顔が消え、ネガティブな発言が多くなり、妄想が頭を襲うようになった。家ではいつも寝ているようになった。

あまりに変わり果ててしまった母の性格や姿に驚いた。

母は私が小さな頃から愛情を持って、育ててくれた。
社会人になってからもたくさん心配をかけてしまった。しかし、どんな時も母は私の味方になってくれ、応援してくれていた。
実家に帰るたびに母親の優しさに救われてきた。

時々、昔の明るく優しかった頃の母の夢を見る。その度にうつ病が一向に治らないことへの憤りを感じる。
もう二度と昔の頃の優しかった母に戻ることはないと思う。

その現実はとても悲しくて辛い。
しかし、母がどんな状態であろうとも、今までの恩返しをしなければならないと思っている。

#いま私にできること

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