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#118 ヨドコウ桜スタジアムはなぜここまで揉めるのか

代表戦見終わりました。
良い試合でしたね。前線のタレントが非常に躍動して…次のスペイン戦、そして本番の東京五輪もすごく楽しみになりました。


さて、今日のホンジュラス戦にはもう一つトピックがあった事を皆様ご存知でしょうか。


そう、セレッソの新スタ、ヨドコウ桜スタジアムでの試合だったという事です。


厳密にはこけら落としは6月のセレッソの天皇杯の試合で行っていたんですけど、その時は無観客での試合開催となっていたので、この日本vsホンジュラスの試合はヨドコウ桜スタジアムに初めて観客を入れて行われる試合…まぁ、事実上のこけら落としとも言える試合だったんですね。
セレッソの桜スタジアムが稼働した事で、これで関西の4クラブは2014年まではヴィッセル神戸のノエビアスタジアム神戸のみだった球技専用スタジアムがガンバ大阪のパナソニックスタジアム吹田(2015年)、京都サンガFCのサンガスタジアム by Kyocera(2019年)、そして今回のセレッソと、関西4クラブ全部が球技専用スタジアムを本拠地とした事になります。サッカー王国関西爆誕や!!!!的なノリで踊ってもいいのでは無かろうかと。






しかし

しかしですよ

なんというか……桜スタジアムって、話題になる度にクッソ賛否両論になるんですよね。

その最大の理由がアウェイ席の設計によるもので、屋根付きのホームゴール裏に対してアウェイ側には屋根が無く、かつピッチからの距離もホームとアウェイでは結構違っている事から、開場前の時点で「セレッソサポvsガンバサポを中心とした他サポ連合」の論争が度々繰り広げられていました。そして初めて観客を入れた今日の試合の後にも、Twitterを開けばヨドコウサクラ大戦状態。ガンバやサンガ、AC長野パルセイロやギラヴァンツ北九州が新スタジアムを建設した時、或いはサンフレッチェ広島がこれから作ろうとしている新スタの計画では聞かれない批判がかなり殺到している状態です。



一応先に言っておきたいのは、私はガンバとサンガのファンであり、当然ながらセレッソに対してはアンチ寄りの感情持っています。それはガンバファンだもの。そういうもんだ。とはいえ、この桜スタジアム問題に関しては、セレッソ側に周辺館局を始めとした土地の問題があって、条例の問題も絡む事から、「こうした」というよりは「こうせざるを得なかった」という理由があるのは理解はしています。実際、諸々の事情を考慮せずに叩いている人は少なからずいると思いますし。


そもそも、基本的にスタジアムというのは行政が大部分を担っていない限りはホーム側の為に作るものですから、個人的にはJリーグにもそういう露骨な不平等スタジアムがあってもいいと思いますし、ポルトガルの某スタジアムみたいにゴール裏が崖だとか、シンガポールのミクスタもドン引き海の中スタジアムみたいな魔境みたいなスタジアムも面白いよなと思っているので、徹底してアウェイに厳しいスタジアムはそれはそれでいいんじゃない?とも思ったりしています。

だからヨドコウ桜スタジアム問題に関しては批判する方が筋違いであり、文句を言うなんて論外!………………とは全く思えないんですよね。すいません…。
上記の諸々の理由を見て知った上でも、正直…そりゃ批判も来るわ、文句も言われるわ、ヨドコウ桜大戦状態にもなるわ、と思うポイントはいくつか存在します。今回は「なぜヨドコウ桜スタジアムはここまで揉めるのか?」について理由を考えてみます。

(7/14追記)
はてなブログにてこちらのページを更新しました。
自分の中では、一応このnoteとは対の立場で書いたつもりです。2本で1本と思って読んで頂けましたら幸いです。


①募金システムである事

ここまで批判が多くなる理由はやっぱり募金・寄付金によってスタジアムを建設しようという形である事です。理由は一つではなく、ここからもう一つ二つ加わっていくんですけれど…結局どの理由を述べても最終的には「〜の上で募金」という形になってしまいます。

別に募金システムに一切問題はありませんし、それはこれからのスタジアム建設のスタンダードになっていく事も間違いありません。そこを否定すればガンバもサンガも否定する事になりますからね。ただ、今回の桜スタジアムの場合は募金システムが心証的に悪影響を及ぼした感は否めません。
別に贔屓球団だからという訳ではなく、この話をすると直近のサンプルケースとしてどうしてもガンバやサンガの話が比較対象として登るのですが、ガンバやサンガの場合は募金開始時から基本的にスタジアムのどこで見ても同じような環境になるパースを発表していたのに対し、セレッソの場合は早い段階で「アウェイ側だけ屋根がない」という状態になる事がわかっていました。でも募金となると当然、他サポに対しても「募金お願いしまーす」の声はくる訳で、そうなってくると他サポには「アウェイ側だけ冷遇されているようなスタジアムなのに、なぜわざわざ募金せなならんの…?」という心情になってしまうのは自然なもので、ガンバやサンガ、或いは今募金活動を行なっている広島のケースと比べて募金活動へのモチベーションも低下するでしょう。そしてそれと同時に、募金をした他サポというのは当然いる訳で、そういう人達からすれば当然「アウェイだけ屋根無しにする為に募金した訳じゃない」という感覚にもなると思います。勿論、募金の内訳のほとんどはセレッソ関係者なのは間違いないですが、募金を柱にする以上他サポの力も大きいのはガンバとサンガを見て非常に痛感しています。それを思うと、他サポに向けても協力要請をしていたのに、そのリターンはセレッソに一方的に、それも露骨な差として与えられるものなのか?と。それがここまで批判が大きくなっている要因の主たるものと考えられます。

前述の屋根の問題を考える時に、セレッソサポを中心によく言われるのが「じゃあ、豊田スタジアムだってアウェイ側だけ屋根が無いだろ?それには名古屋グランパスに対して文句を言わないのか?」と。確かに桜スタジアム以外にもアウェイだけ屋根のないスタジアムはいくつかあって、にも関わらずセレッソだけなぜ叩かれるのか?というのは心情的にはわかります。
ただ、豊田スタジアムなどはあくまで愛知県豊田市が所有するスタジアムであって、名古屋グランパスは出資者の一部ではあっても、例えば豊田スタジアムで発生する利益は享受出来てもほんの一部。そしてそれを基本的には豊田市のお金でやるので、言ってしまえばこれは豊田市が自分達のお金で勝手に建てたスタジアムであり、グランパスはあくまでたまたまそこにいた存在…という言い方も出来るので、豊田スタジアムなどを絡めてカウンターを繰り出すのはさすがにナンセンスだと思います。その他だと、例えば、球技専用スタジアムの機運が高まっている中でカンセキスタジアムとちぎという陸上競技場が建った栃木SCに対して「わざわざ建てるなら専スタ建てろよ」的な文句がないのは栃木SCがこの計画にほとんど関わっておらず、あくまで最初から最後まで栃木県が建てたスタジアムだからです。
セレッソの場合は所有自体は大阪府になりますが、それはガンバのパナスタと同様に指定管理者はセレッソになっているので実質的にはセレッソ所有といって差し支えないですからね。税金で建てたスタジアムと民間で建てたスタジアムで寄せられる批判のジャンルが違うのは言うまでもありませんし、後者の場合は他サポにも募金を呼びかけた上で建てたスタジアムである事を踏まえると、指摘されても仕方ないのかなと。批判する人達も事情を知ってから批判するべきだとは思いますが、それでも批判される筋合いはあるとは思います。

セレッソが今後、新たな改修計画を考えていて、現状が完成形ではない事は承知しています。屋根問題への批判へのカウンターとして「じゃあ募金してくれ」という声も挙がったりしてますけど、じゃあアウェイ側の状態が改善されるのは第何段階なんだ、募金に注ぎ込んだところで「よっしょじゃあ募金しよう!」となる他サポはどれだけ広報されても少ないのでは。要するに、募金システムが影響した事はセレッソサポとそれ以外のサポの決定的な溝を作ってしまったという部分。極端な話、募金ではなく…例えばヤンマーが全額出資して一人で作りましたとかであればこうはなっていなかったと思いますし、それで批判している人がいたらそれは本当に事情を知らない人だと思います。なんならアウェイ側だけ西京極名物スタンドのど真ん中に支柱を5本くらい作ってもヤンマーの金で作ったんだから勝手でしょ?と言い切る事だって出来ます。


ですが、募金を利用した以上はその手の批判にも一定の筋が通ってしまうのは否めません。

というか、アウェイ側は照明もないみたいですしね…。


②ガンバ大阪と京都サンガFCの後になってしまった


いくら上記の経緯があっても、仮にガンバとサンガのスタジアムが建つ前であれば純粋に「球技専用スタジアムやー!」と歓迎されていたと思います。ただ、ガンバとサンガ、或いは長野と北九州がJリーグにとって理想的とも言えるスタジアムを造ったことにより、サッカースタジアム建設の流れを作ったと同時にそのハードルも上げてしまった部分はあって、「募金まで呼びかけて、この時代とこの流れで片側屋根無しかよ?」みたいな感じにもなっているのでは。更に広島の新スタの計画がなかなかに期待できそうなものだった、というのも拍車をかけているような。これに関してはセレッソ側も運が悪かったというか、間が悪かったというか…。


③必要性

①と②の理由を考えると、少しずつ思ってくるのは必要性についてです。ここはどちらかと言えば、ガンバやサンガにあってセレッソに無かったもの…って感じですね。
ガンバとサンガはこれまで使用していたスタジアムが今の規格では完全にアウトになっており、「新スタジアムを建てたい」ではなく「建てなければならない」という状況がずっと前から続いていました。要するに必要性もさる事ながら、この2チームには緊急性すらあったのです。それに対してセレッソの場合は、FIFAワールドカップや世界陸上の開催実績があるヤンマースタジアム長居を持っていました。なので①と②の問題と事情を踏まえると、「え?じゃあ長居でよかったくね?」「長居があるのに?」みたいな話にもなってきて、結局①で書いたようにセレッソとセレッソ以外のファンとの間に開いたギャップはもう埋めようがないのかな…とは少し思います。



セレッソサポもせっかくの新スタジアムを結構適当に批判とかされてしんどい気持ちはわかりますし、実際に適当な批判をしている人も多いとは思います。ただ一方で、今回は他のスタジアム建設と比べても、というか比べれば比べるほど批判されるにも合理性のある理由はいくつかあるよなぁ、とも感じています。


④追記

(7/14追記)
はてなブログにてこちらのページを更新しました。
自分の中では、一応このnoteとは対の立場で書いたつもりです。2本で1本と思って読んで頂けましたら幸いです。


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