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【不思議な夢】呪いの行方

呪いをかけられていたが霊能者に救われた不思議な夢の話。

気付いた時には夢の世界に居たが、もうその時から自分には呪いがかけられている状態だった。
何故このような状況になったのかすら分からない、一切情報がないまま自分は呪われていた。

私の周囲には家族と一部の親族が居たのだが、私も彼らも慌てている様子はない。
普通に考えると呪われていれば泣いたり怖がったり不安な気持ちになるなどのアクションを取るはずだが、淡々とその状況を受け入れているような感じだ。

やけに冷静にいられたのはそばに専門家がいたからかもしれない。
私の目の前には男性霊能者がひとり居る。
顔や年齢ははっきりしないが、彼が呪いの対処に強い人物であることだけは何故か分かる。

呪われているというのに、ずいぶん冷静に対応出来たのは霊能者が側に居たからかもしれないし、夢の中あるあるの自分のことなのに他人事のような感覚に陥っているような感覚が原因かもしれない。

霊能者から呪い返しについて説明を受ける。

まずは、崇徳天皇の力を借りて呪い返しをするというもの。
呪いの強さはまだよく分かっていないので、まずは儀式を行って様子を見ることになるらしい。

霊能者に案内されてやってきたのは古びたお堂だった。
この中に私と家族と霊能者が入って儀式を行うというのだ。

昭和初期くらいに建てられたと思われるような柱が欠けているような焦げたような色黒の木造のお堂に少しだけ神がかったものを感じ取る。

ガラガラガラ・・・お堂の扉はゆっくりと開けられる。
霊能者、私、家族が中へ入り、扉は閉じられた。

中には青銅色の仏像と古びた畳と座布団が敷かれており、揺ら揺らと揺らめくロウソクの炎は静かなお堂の中では少し力強さがあった。

霊能者の先生はぶつぶつぶつと何かを唱えだした。
真言のようなものだろうか。

数分間真言を聞かされたものの、私の身には何も起きることはない。
なにひとつ変わらぬ自分の身に大丈夫だろうかと一瞬感じるが、霊能者に頼るしか方法はない。

1時間ほどで儀式は終了した。

ところが、霊能者は少し険しい表情をしてこう言った。


霊能者「呪いの威力が思ったよりは強かった、1回の儀式では返しは完了しなかった、明日もう一度やらなければならない」

霊能者「ただ、問題は夜中だ、呪いの強さが増すとどうなるか分からない」

霊能者「そのために少しだけ細工をしておいた、呪いがターゲットを認識できないような細工をな・・・」


霊能者が行った細工というのは、呪いがターゲットを誤認するというものだった。
呪いの誤認とは・・・家族や親族が私に見えるようにするというもの。

問題は家族や親族は大丈夫なのかということだが。
霊能者曰く、元々呪いにかかっていない人間には呪いが届かない結界を張るのはたやすいようで、私のようにすでに呪われている人間に結界を張るのは難しいそうだ。

数人の家族と親族にはすでに結界が張られているので、お堂の外に出ても問題はなさそうだ。
私ひとりだけお堂に残らねばならないのだが、呪いはすでにお堂の外に充満していたので、私は外に出る気はなかった。

真っ黒な霧がものすごい勢いで集まっており、ぐるぐると猛スピードでお堂の周りを取り囲んでいる。
このような状況で外に出ようものなら、呪いが私に降りかかってもがき苦しんで死ぬかもしれない。

このまま一晩お堂で過ごさなければならないのだが、怖さは一切なかった。
呪われている状況を怖いとも思わなかったし、黒い霧状として存在している呪いのエネルギーにすら恐怖を感じていなかった。

何故だろう。
何とかなるという安心感があった。

時間は夜になり、あたりはし~んと静まり返るが、私はそのまま眠りについたようで、気付いたら朝になっていた。

再び霊能者、家族がお堂の中に入ってきた。
2回目の儀式を執り行うためだ。

ぶつぶつぶつと謎の真言のようなものを1時間ほど唱えたあと、お堂の外に存在していた黒い霧状の呪いは跡形もなく消え失せていた。
どうやら、呪い返しは成功したようだ。

霊能者が言うには「呪いは行き場を失った、おそらくは術者の元に戻ったであろう」とのことだった。

私はお堂の扉を開けてみる。
あの黒い霧状のものは居なくなっていた。

やっと・・・呪いは私から離れてくれたんだ。
少しだけ嬉しくなった。

呪いから解放されて急に日にちが飛んでしまう。
一瞬で数日が経ち、目の前には見知らぬ女性が泣きながら私に助けを求めている。


女性「助けてください、私、呪われてしまったんです!」

私「ああ・・・、これはあの黒い霧状の呪いですね」

女性「私は、私は死んでしまうんでしょうか!?」

私「・・・大丈夫です、私には崇徳天皇の力がありますから、それで返しを行うことが出来ますよ」


私は泣いている女性を古びたお堂に連れて行き、扉を開けて中に入ってもらった。
青銅色の仏像に古びた畳と座布団が敷かれており、揺ら揺らと揺らめくロウソクの炎はとても落ち着いていた。

私を助けてくれた霊能者はもう居ないが、今度は私が霊能者として苦しんでいる人を助けなければならない。

呪いの強さを調べる必要があるな、儀式の手順について考えている時にぐらっと画面が反転して目が覚めてしまった。

・・・今まで見ていたのは全て夢だったんだ。

それにしても、最初は呪われていたのは私で霊能者によって救われ、今度は私が霊能者となって誰かを助けようとしていた。
共通しているのは呪いが同じものであるということと、崇徳天皇の力を借りて儀式を行うという点だ。

ただ、これらは全て夢の中での出来事だ。
夢の世界というものはとても奇妙なものだ。
どんな設定でも違和感なく受け入れることが出来る。

ただ、ひとつだけ気になったことがある。

目覚めた直後に頭にある人物像が浮かんだことだ。
白髪交じりの50代くらいの男性が頭を抱えて苦しんでいるイメージが湧いてきたのだが、何となく感じたのは私に呪いをかけた術者ではなかろうか。

もちろん私はこの人物には全く心当たりはない。
ただのイメージ映像なのかもしれないし、もしかしたら・・・過去世で因縁があった人物かもしれないし、彼の正体を知る術は今のところは何もない。


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