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【心霊体験】白くて長い尾を引く光

それを一番最初に目撃したのは私の両親だった。

お盆の時期になると至る所で怪談話を聞いたり不可解な出来事に遭遇する人も出てくるかと思う。
実は私もお盆の時期にいろいろ見たり聞いたりしているのだが、幼少期の頃に通っていた保育所で保育士からお盆の話を聞いたことがあった。

お盆というのはご先祖様の魂がお家に戻って来るんだよ、だからお野菜や果物を動物に見立ててお迎えの準備をするんだよ・・・と。
精霊馬と言う名前であることはそこそこの年齢になるまでは分からなかったのだが、不思議な光景と共に少し恐怖心もあったかもしれない。

当時は幼すぎて霊とかお盆の話をされてもあまり理解出来なかった。
ただ、魂が戻って来るという話はとても頭に深く刻まれていた。
田舎に住んでいたこともあって、お盆の時期にはスイカや瓜がたくさんお寺の開山堂にお供えされていたことは覚えている。

今住んでいる地域と子供の頃に住んでいた地域では施餓鬼の時期がずれていたので、お供え物の野菜類は施餓鬼供養のものだと今では分かるのだが、当時はあのたくさんのお供え物が何だったのかは全く理解出来なかった。

そういえば餓鬼の話を子供の頃に聞いたことがあったな、やはり子供というのは難しい話はなかなか理解出来ないものだと思う。

近所に住んでいた人の中にはお盆の時期になると幽霊を見たり、施餓鬼供養の行事に参加するとわらわら集まって来る餓鬼が見える人もいたようだが、私は祖父の家に飾られていた掛け軸のイラストでしか餓鬼を見たことがなかったので、あんな恐ろしい姿のものが見える人がいるんだ・・・と恐怖で震えていたこともあった。

それでは、私が保育園に通っていた時期に体験した不思議な出来事について書いていこうと思う。

私の住んでいた家は古くてボロくてちょっとした衝撃で天井の埃がたくさん降ってくるようなとんでもない家だった。
家族の多くが幽霊や人魂を目撃しており、私も何度か不思議な体験をしたことがある。

おそらくは人生初の心霊現象だと思われるが、保育所でお盆の話を聞いたその日の夜のことだった。

狭い部屋で家族そろって寝ていた時のこと。
当時はエアコンなんてハイテクなものなどなかった。
扇風機も今ほど高性能ではなかったし、戸や窓を開けて寝ていることが多い時代だった。

窓はいいとしても、私は戸を開けて寝るのが嫌だった。
理由はただひとつ。
暗くて怖かったから。

人魂が出る家に住んでいる割にはって思うかもしれないが、その人魂が目撃された場所に通じる戸を開けっ放しにして寝ていた。
そんなものは子供には怖いに決まっている。

親に言わせると「お化けなんてこの世に居ない、全部気のせいだ」そうだが、だったら最初から人魂見たとか言わないでよって話だ。

・・・で、私も見てしまったわけだが。
例の人魂をこの目でばっちりと。
正確にはお盆の時期に戻ってきたどこかの誰かの魂だろうか。

寝苦しい夜に私はいつまでも眠りにつくことが出来なかった。
隣で寝ている家族は全員寝息を立てていたので眠りについていたのだろう。
私は昼間聞かされたお盆の話を思い出していたが、不思議なことに怖いという感情はなかった。
怖いのはお盆の話よりは人魂が出たとされる場所への戸が開きっぱなしになっていることだった。

住んでいる人には分かる話だが、田舎の夜はとても暗くて静かなのだ。
明かりもつけずにそんな空間で寝ているのは誰だって気味が悪いだろう。
戸の向こう側には引き込まれそうなほどの暗黒が広がっているのだから、余計に怖い。

もちろんその先は何も見えることはない。
まさにブラックホールのような感じだ。
真夜中だというのに、布団の中からブラックホールのような空間を眺めていたのだから色々想像してもおかしくはない。

ただ、あの時だけは・・・なぜかじーっと見てしまった。
あの空間が気になって仕方がなかった。

すると、信じられないものが目に飛び込んできた!

す~~~~っと白い丸い球が移動しているではないか!
それは彗星のように白くて長い尾を持っていた。
中心部は白い球で後ろに長い尾をたなびかせて移動していたのだ。

私は「あれが保育所で聞いた魂なのかな」と理解した。
怖さは感じなかったが、子供の割には冷静に判断していたような気がする。

次の日の朝に両親に昨夜見たものを話してみたが・・・やはり信じてくれなかった。
気のせいとか寝ぼけていただけだ・・・と言われて聞いてもらえなかったのだ。

最近になって人魂が出る家の話題が家族の中で出てきたことがあったのだが、人魂を見た話をしたところ、子供の頃とは全く違う反応が返ってきた。

「まぁ、あの家は古くて色々あったから」

「そういう存在が居てもおかしくはない」

「多分どこかの誰かの魂だろうね」

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