Chapter1
もうね、名乗っちゃうけどハンモックビルダーのじろうon the trailです。
まぁ本業は別なんですけどね。
…
もともとハイカーだったんです。
キャンプとか、野営とか(これは英訳するとキャンプなんですけどね)、ブッシュクラフトとか、登山とか、いろいろなアウトドアアクティビティが最近は人気ですけどね。
それ全部やってきました。
子供の頃からね。
あ、マウント取りたいわけじゃないですよ。
ジャンルで分けるのになんだかモヤモヤするものがあるというか、納得いかないけど曖昧に笑ってごまかしちゃうような感情なんです。
野営でも登山でも、今で言うブッシュクラフト的なものもやってきました。
でもどの遊び方でも共通してるのは“歩く”ってこと。
だから、ボクはハイカーです。
登山してる人がハイカー名乗ってるとなんだかモヤっとします。
ボクは、“苦しい先にあるご褒美”的な楽しみ方はできませんね。
山頂から見る絶景も良いでしょうね。
重たい荷物担いで森の中でベーコン燻すのも良いですね。
でも、ボクは“歩くこと”が目的なので、ヒィヒィ言って登って山ご飯食べて時間に追われるように下山する、みたいなのは楽しくなかった。
頂上以外では、それこそ周りを眺めながら歩くこともできないくらい必死。
でもボクはヒィヒィいうのは楽しくない。
どうせなら歩く時間さえも楽しみたい。
苔にも触りたいし、田んぼに飛んでるトンボの大群も眺めたい。
冬の見通しの良い森の雰囲気を楽しみたい。
明日はどこに行こう、この道の先(獣道率高いけど)にどんなものがあるんだろう。
道中どんなものが見れるだろう。
旅を楽しむ感覚に近いかもしれない。
ボクにとってのハイキングってそういうこと。
…
数年前までは、ウルトラライトハイキングなんて知りもしません。
それでも身軽に歩きたくてなんとか自分なりに軽量化してました。
使わないものはどんどん削りました。
なので、ボクの装備はシンプルです。
たぶん。
ハイシーズンであれば、ハンモック、タープ、バーナー、マグ、グランドシート、バッテリーとヘッドライト、浄水器くらいが主要なベース装備で、それで何日か野宿しながらさまよったりします。
以前は安物のテントを使い倒してました。
安物なのですぐに壊れます。
一度なんか、風の強い日にフライをきつくピッチしたらリッジラインの縫い目から真っ二つ!なんてこともありました。
テントだけじゃなくて、バックパックやグランドシート、パンツなんかもガンガン使うとどうしても傷む。
ボクは捨てるのがなかなか面倒に感じるので、仕方なく直して使っていました。
“もったいない”じゃなくて、“面倒くさい”なんです。
例えば、そもそもテントの生地って燃えるゴミなのか不燃ゴミなのかわからないし、ポールなんか粗大ゴミ扱いなのかな、とか。
そうすると“捨てる”って行為がえらく面倒になってくるんです。
もとが安物だから売るという選択肢はハナからないし、そもそも壊れてるし。
で、仕事で使う作業着を修理するために持ってたミシンで直した方が気が楽なんだな。
…
子供の頃からモノを作ったり改造したりするのが好きでしたから、どうにか直せないかなとか作れないかなって思考にどうしても片寄っちゃう。
オヤジの礼服のズボンを、ボンタンに作り直しちゃってえらく怒られたこともあります。
お父さん、ごめんなさい。
あの礼服はオーダーメイドだったらしく、今でも言われます。
お気に入りだったんだね。
レザークラフトも大好きでした。
今でも使ってるサドルレザーの長札はもう15年以上使っている。
もちろん、直しながら。
しかも職業柄、大工道具を自分に使いやすくカスタマイズするなんて日常茶飯事なもんだから、もうなんとか作れないかなって思考から抜け出せない。
抜け出す気もないんですけど。
自分の感性を自分の手でカタチにするってスゴイ!
…
初めて買ったハンモックはヘネシーハンモックでしたね。
とある海外のハイカーの掲示板で、トレイルでヘネシーが張られてる画像を見て、いても立ってもいられなくなりまして。
で、何泊かしてみたものの、なんかしっくり来ないんです。
ヘネシーは寝心地に定評がありますから、確かに悪くない。
でも設計の加減か、頭から足裏まで、身体が縦に圧縮されるように感じるんですボクは。
余った生地が巻き込むように立ち上がるので、そう感じるのかな。
これはヘネシー公式HPにある斜めの寝姿勢の図解を見ればなるほどとなります。
まぁ、これは別の機会に。
ハンモックはディアゴナルポジションといって、ハンモックの中心線(≒リッジライン)に対して斜めに寝ると腰が沈まずに寝ることができます。
この時、中心線に対して30°の角度が良いとされていますから、この辺に設計のヒントがあるハズです。
もう1つ、ハンモックは背中が寒い。
いわゆる、“COLD BUTT SYNDROME(冷たいお尻症候群)”というやつです。
これの解決には、アンダーキルトというハンモックの下に吊るすダウンその他の中綿を持ったキルトで解決する。
ここまでは海外フォーラムで分かったのだけど、日本で買おうとしても売ってなかったのですよまだ。
まぁ今でもか。
海外からの通販なら買えるけどなんだか二の足を踏む、“ガイツー”の響き。
で、“作れないかなこれ”病が発病です。
実は良さげなアンダーキルトが国内で買える機会があったんですけど、欲しいスペックと違うモノが送られてきたので返品。
ままよ!作ってまえ!
となったわけです。
ところが日本では自作のノウハウを検索しても出てこないのねこれが。
生地やダウンも買える所はない!
ないんですよ!
日本ではアウトドア用品業界は大手メーカーの独壇場です。
ボクみたいな貧乏な個人には付け入る隙はない。
素直に既製品買った方が良いかな。
そんな矢先にとあるブログで見つけました。
作っちゃった人。
しかも大手ハンモックメーカーenoになぜだか対抗意識を燃やしている。
なんて自意識過剰なんだ。
しかし、そのブログで生地を海外から個人輸入できると紹介されている。
飛び付いたよね。
この時点で、ガイツーに二の足踏んでたことはすっかり忘れてミイラ取りがミイラになってしまったわけです。
ミイラになったのに気付いたのは初作を作り終えたあとでしたがね。
人間てすごい。
あとはInstagram。
海外、特にアメリカのガレージメーカーはInstagramアカウントを必ず持っている。
Instagramから直接注文を受けるやつもいる。
作り方を公開してるやつもいる。
海外のフォーラムも情報の宝庫。
Hammock FORUM、Backpacking lightなどでは活発に自作ノウハウや新開発生地のフィールドテスト、ガレージからマスプロまで製品の評価などの議論が行われている。
海外のハイカーはどうやらmyogとかいって自分で装備を作っちゃうらしい。
響きいいじゃないmyog。
で、myogの市場が確立されている。
ボクが生地を仕入れてる会社も、もとはハンモックのガレージメーカーだったらしい。
で、当時の市場で買える生地に納得いかないから作っちゃえ!ってことらしい。
どこかで聞いたセリフだ。
今じゃその会社はアウトドアのカスタム生地の卸としては最大手。
Ripstopbytherollだ!ドーン!
ハイエンドの生地、フレンドリーで素晴らしいカスタマーサービス、速い配送。
王様です。
しかもmyogerの矜持を持ったままってところが好き。
いや、愛してる。
そんなのに出会ったもんだから、もう鬼に金棒の気分でミシンを踏んだよね。
で、できたものをInstagramにアップ!
正直、日本でもバックパックを自作する人もいるし、ボクは天才ではないので、
この程度はやってる人いるっしょ!
って感じでアップしたんですけどね。
先輩、胸かしてくださいよ!的な。
まぁ反応ないねInstagram。
特に日本の方はどうも冷めてる。
海外のハイカーやガレージメーカーはめっちゃサムアップして、ガンガン喋りかけてくる。
ヘイ!日本にもクールなヤツがいるんだな!サムライ!
みたいなノリでしたね。
その時グーグル翻訳初めて使ったよね。
それはさておき、同胞から反応薄いってことは、
もしやこの程度はハンモッカーは普通なのか??
とか思ってましたね。
むしろ出来が悪いから反応薄いと思ってましたよ。
…
で、海外フォーラムを読んでると、それまで聞いたことしかなかったULという言葉がかなり飛び交っている。
読んでいくとそれは、装備の軽量化をして何千㎞も歩いちゃおうぜ!ってことらしい。
これが、ボクとUL思想の出会いってわけですね。
さらに読み込むと、装備そのものの軽量化ではなく、まずは構成をシンプルにしてみようぜってことらしいですこれが。
オレのこと呼んだ?
って思いました正直。
そこからバックパックからタープやハンモックで装備を軽量化していきます。
自作なら自由自在だし。
これはまた別の機会に。
じろうon the trail
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