虚無感に駆られる日々 第十章

第十章 関心と罪悪感

体育祭は無事終わり、私達の担当する仕事も問題なく終えることができた。
私は片付けの間 もっと頻繁に話したい欲求に忠実になり、愛嬌さんにLINE交換を頼んでみた

「LINE持ってなかったよね?良いかな」

少し驚いた表情を見せた後は、すぐに笑顔で彼女は答えた。「もちろん、いいよ!」

私たちはLINEを交換し、今後も連絡を取り合うことを約束した。
その夜、私は家に帰ってから、早速LINEでメッセージを送ってみた。「今日はお疲れ様。うちらの担当も上手く行って良かったよね」

しばらくして愛嬌さんから返事が来た。「お疲れ様!本当に良かったよね ってか話しかけて良い?って聞いて本当に来るとは思わなかったよwww」

「話しかけていいって言われたら、そりゃ話しかけるよ!」と返すと すぐに「そっか、素直だね(笑)でも嬉しいよ」と愛嬌さんから返信があった。
私はすかさず「素直に生きたほうが楽だと思うしな
それに、君には感謝をしてもしきれない部分があるから 改めて言いたかったってのもあるから…」と送信する。

愛嬌さんは「感謝?どういうこと?」と不思議がる
私は4月初頭に絢辻さんと絶縁した時の話を彼女に説明した「あの頃、絢辻さんと絶縁してから気持ちが沈んでたんだけど、君が話を聞いてくれたし、優しくしてくれたから本当に助かったからね 本来は直接 伝えたかったんだけど 恥ずかしくて…」

しばらくの間、LINEの画面に表示された「既読」の文字が静かに輝いていた。すると愛嬌さんから返事が来た。「知らなかったけど、助けになれてよかったよ。でも、私はただ普通に友達として接していただけだから、そんな感謝しなくていいよ。」

私はただ普通にという謙遜な態度に感銘を受ける「いや、本当に助かったんだよ。だから、これからもよろしくな」と私が返信すると、愛嬌さんから「こちらこそ、よろしく〜」と温かい言葉が返ってきた。

思わず私は彼女の人格を褒め称えた「やっぱ美人と温厚が言っていた通りだな ❝優しくて癒やされる存在って❞

愛嬌さんは「えーwあの二人そんなこと言っていたのwww 盛りすぎだよ それ言ったら あなただってあの二人から ❝変わってるけど優しい❞って聞いてるよ」と驚きの事実を教える

私はその発言に驚きを隠せない「えっ(笑) あの二人そんなこと言っていたんか…まぁ褒めてくれてるみたいだから嬉しいけども 」

愛嬌さんは可愛げな絵文字と共に返してくる。
「うん!私も話してて そう思ってるから(笑) 逆に私も気になってるコトがあって それを話して良い?」

私はすぐに返事を送った「もちろん!どうしたの?」

少し間を置いて、彼女からの返信が来た「わたし割と、対人関係でテキトーなトコがあってね なぁなぁになっちゃったり、イヤだってはっきりと言えなかったり……」

私は想定外の悩みだったので、一瞬返信に迷った
「それはつまり あんまり自分を出せないってコト?何か具体的に困った場面とかはあったん?」

愛嬌さんからの返信は遅れてきた「困ったわけじゃないんだけど、中学時代付き合っていた人に 別れ話を上手く切り出せなくて自然消滅させちゃったり…」

私は彼女が❝中学時代交際をしていたとは知らず❞、思わず驚きの反応を送る
「中学の時彼氏いたんだ 知らなかったよ……」

愛嬌さんからすぐに返信が来た「うん実はね、でもあまり長く続かなかったし、疎遠になって自然消滅だったよ」

私は驚きながらも自分の意見を伝える「そうだったんだ。知らなかったよ……でもウチラってまだ人生経験が浅い十代だし、別れ話とかを上手くできなくても仕方ないんじゃないかな。まぁ、俺は交際経験皆無だから説得力ないけどね」と返した。

愛嬌さんは少し間を空けてから返事を送ってきた。「えー、そんなもんかなぁ……でも、そう言われると少し気が楽になるかも」

私は返答する「少しでも力になれたなら良かったよ」

そして愛嬌さんは少し話題を変える話をした「でも詞ちゃん経由で交際の話は聞いてると思ってたから知らなかったのは意外だよ〜」

私は返信する「あぁ……まぁ絢辻さんとの会話で、君との色恋話は無かったからな。でも確かに ❝優しくて可愛い女子だからそりゃ彼氏いない方がおかしいよな❞って思ったよ」
思わず私は愛嬌さんに対して『優しくて可愛い』と褒めてしまう

愛嬌さんは返信は少し照れた様な雰囲気が感じ取れる文だった。「えー、可愛いだなんて…ありがとう。そんな風に思ってもらえて嬉しいよ。だけどもっと美人ちゃんみたいに可愛い人はいるし、温厚さんみたいに優しい人もいるよ(笑)」

私は彼女の反応に微笑んで、「率直な感想だよ 君が優しくて可愛いのは間違いないし、だからこそ助かった場面があったってさっき話したやんw」

愛嬌さんの謙遜は続く「だとしても褒めすぎwww
だけど 気持ちはありがとう これからもよろしくね」

私はさらに続けた。「もちろん、こちらこそよろしくお互いに高校生活楽しもうな〜」

こうして、私たちのLINEでの会話は続き、私は今までより愛嬌さんと仲良くなれた実感を覚えた。


そして内心では (愛嬌さんは彼氏もスグに出来るタイプだし、好きになるなら今のうちなのかな……でも私にあんな素晴らしい人を好きになる資格があるのだろうか………こうして話してくれるだけでも感謝しなければならないというのに……)

と好意に近い興味関心を抱き始めてると自覚しつつ、罪悪感に駆られるのであった。

この記事の時点での時系列 高校1年 夏〜秋 絶縁してから約5ヶ月〜6ヶ月

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?