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五感を満たす
梅雨の日々。
静かな雨音をのんびり聞きながら、心穏やかに暮らせる日があれば、外のどんよりとした景色に、何となく気持ちが沈む日もある。
そんな雨の日々が続くと、なんとなく気持ちを切り替えたくなり、目的も無しにお気に入りのカフェへと向かう。
オーダーするのは、大抵、温かい飲み物。
温かい紅茶や、ハーブティー。
時に温かい梅ジュースや、ココア。
ある日何となく、今まで飲んだことのない、抹茶オーレを頼んでみようという気になった。
しばらくして初めての抹茶オーレが運ばれてきた。
せっかくだし、写真を撮ろうと、スマホ画面を見た途端、心がふわっと軽くなり、ワッ!って小さく叫んでしまった。
ころんとした丸いブラウンのカップに注がれた、鮮やかなグリーンの抹茶オーレ。
そして、その向こう側には、美しい新緑のグリーンが窓に映っていた。
抹茶オーレのグリーンと、新緑のグリーン。
その2つが、見事にリンクしていたのだ。
なんだか、ドラマや映画のワンシーンみたい、、、。
綺麗〜!
わたしは、抹茶オーレを一口飲んだあとも、その美しい様をしばらくの間、眺めていた。
そうやって、ぼんやりとカフェで過ごすうち、わたし、結構元気なんだなって思えた。
感染症の不安に振り回され
家族や、誰かとの関係に悩み
初めて経験する、本格的な更年期の症状と向き合い
この先の自分の進むべき道に迷って
この半年は、漠然としたしんどさを、常に感じていたように思う。
わたしは、あまりにしんどい時って、五感が鈍くなり、自然の移り変わりにも気づけなくなってしまう。
鳥のさえずり、風の音、川のせせらぎ。
キラキラ輝く朝の光、オレンジ色の温かい陽が差し込む夕暮れ。
雨の湿った匂い、庭の花たちの甘い香り。
美しい自然は、常にわたしの目の前に存在するのに、気づかない。気づけない。
だから、抹茶オーレのグリーンと新緑のグリーンとの美しいコラボ?に、声が出るくらいに、心がときめいたということは、イコール、わたし、大丈夫ってことなのだ。
半世紀を生きる中で、たくさん転んで、たくさん泣いて、たくさんの痛みと向き合ってきた。
どうして、もっと合理的に、賢く、スマートに生きることができないのかと、自分を責めた。
だけど、そんな転んでばかりの若い頃の経験が、わたしの心を強くしてくれた。
生まれて半世紀を迎えるころには、自分の本心に気づくのが早くなり、自分を的確に守る方法も、ずいぶん身につけた。
若い頃より、ずっとずっと逞しくなったわたし。
さて、じゃあ、これからの残された人生を、逞しくなったわたしは、誰のため、何のために、使っていく?
とりあえず、お茶を飲みながら、のんびり考えよう🫖🎶。
ゆるりと過ごすお茶の時間が、五感を刺激し、あらゆる辛い出来事からわたしを守ってくれ、今のわたしへと成長させてくれたから。
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