9日目 - 満員電車に弱すぎる

ほぼ毎回泣かされていた場所がある。電車だ。
僕は電車通勤がほんとうにダメだ。

電車に乗ることそれそのものは好きだと思う。
大学に通っていたころ、暇なときはあえて鈍行を選んでいたくらいだ。
すこぶる酔いやすいため何もせずボーッとするしかないのだが、好きな音楽を聴きながら、あるいは外の景色を眺めながら、数時間かけてモタモタと移動するのが好きだった。
座れないときは座れないで別によく、ぼけっと立っていた。

だけどこれは、ド田舎だったから楽しめていたことだと都会に来て知った。
研修が関東だったので電車通勤以外になかったのだが、人。人。とにもかくにも人人人。リュックを前に背負うの、都市伝説じゃなかったんだ。

たかだか片道二、三十分の乗車だというのに常に気を張りっぱなしで、8時間の勤務よりも圧倒的にHPが削れる。MPも削れる。これが最近流行りのタイパとかいうやつかしら。

どちらかというと生理的な涙だったが、田舎にかえして……………………と切実に願う日々だった。すごいよ都会人！

研修が終わって田舎に帰ってきた今も、きっとガラガラなんだろうけど、駅に近寄る気になれずにいる。あの時間を楽しめるのは当分先になりそうだ。