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氷上の熱い闘い

息子たちの愛するアイスホッケー。

このスポーツはとても激しい。小さな頃は、怪我を防ぐため、体がぶつかるだけでペナルティーとルールが厳しく選手が手厚く守られている。

けれど、中学生くらいのレベルから、ヒットと呼ばれる体当たりが許され、途端に激しい戦いになる。

ヒットが許される学年の子供達にはヒッティングのためだけのレッスンがあるくらい。このヒッティングの技術と覚悟がそれからのプレイヤーの将来を大きく左右する。

最初はぶつかることが怖くてパックをすぐにパスしてしまったり、体当たりを防ぐために守りのスケートになってしまうことが多い。

うちの子供達も例外ではなく、なんでもありのレベルになった時、確実にプレイが保守的になり、のびのびとした今までの活躍は見られなくなった。

2人とも同学年のチームメイトが思春期を迎え、凄い勢いで成長し、体格が大人に変わっていく中、なかなか伸び悩んでいた。こればかりは努力でどうかなるわけでは無いからどうしようも無い。

いつか大きくなると分かっていても、体格がものを言うスポーツ。多分息子たちも悩んでいたのでは無いかと思う。

でも大分遅れてやってきた成長期。長男も次男も15歳を境に面白いくらいに身長が伸び、声が変わり、顔つきが変わった。

氷上でもその変化ははっきりと分かるようになる。体当たりをすることもされることもさして怖く無いのだろうなあという堂々としたプレイに変わった。

怪我だけは避けて欲しいと思う私の気持ちをよそに、試合はますます激しくなり、私の悲鳴も恒例。いつまでたっても慣れることはない。

乱闘が好きな選手もいるけど、うちの息子は戦う暇があるくらいならパックを盗む、そんなタイプなのであまり危ないことはしない。でも、しなくてもされる、厳しい世界だ。

次男身長も恐らく180前後。もう小さくも大きくも無い標準サイズ。だけど急に伸びてしまったため体重変わらず。なのでヒョロヒョロ。

体格がしっかりしていて体重のあるベテラン選手はぶつかってもびくともしないのでターゲットにならないけど、次男ヒット対象確定。もう毎度。

彼がぶつかっても相手はダメージなし。でも逆の場合、例外なく吹っ飛ばされる。

もういい加減にしてよーと見ている私も沸々と怒りが。ねえ、わざとだよね、今の。

基本体当たりはパックを持っている選手には許されているけど、パックを持っていない選手にはペナルティが課される。後ろから押すのも危険なのでアウト。

ということで次男坊、ヒットされる度にほぼ必ず相手チームにペナルティが発生して、チームに貢献している。けど、このペナルティ。違反をした選手が2分ペナルティボックスに入るだけ。たった2分って絶対短すぎる。もっと何とかならないんだろうか。

納得がいかない。それで骨折でもしたら、悲しすぎる。

頭を打つような激しいヒットや怪我をさせることがわかっていての危険行為は4分。試合出場停止など、厳しいペナルティもあるけど、それは稀。

シーズンも残すところ僅か数試合のみ。プレイオフには何とか滑り込みそうだけど、試合はいつになく力が入る。

するとプレイも攻撃的になり、ヒットの回数・勢いが明らかに増える。

土曜日の試合で3回。日曜日は2回、次男坊飛ばされた。大きく激しく。涙

最後のヒットは相手選手を上手に何人か交わしゴール前の選手に綺麗にパスが決まった後、かわされて怒った選手が次男坊の後ろから体当たり。

パックを持っていない状態で全く身構えて無かった彼の体が面白いくらい高く宙に舞い後頭部から落下。

観客席から大きな溜息。

見ている私の息が止まった。

仰向けになった次男坊が起き上がるまでの3分。
手足の感覚がなくなる。
動けない。

この魔の3分後、トレイナーに助けられて起き上がる次男坊。いつものことだけど会場から激励の拍手。
力が抜ける。よかった。無事だ。

そして訳もなく無性に頭に来る私。

もう少しで大怪我だったんですけど。
私、息できなかったんですけど。
手叩いてる場合じゃ無いんだけど。

まあこの状況、いつになっても慣れることはないと思う。

でもそんな私の怒りを共有してくれる人たちが氷上にいた。

チームメイト達。
こういう汚い攻撃には果敢に向かってくれる。まさに敵討。

仕返しはスポーツ精神には外れてしまうかも知れないけど、仲間を大切にするということではオッケー?

今回はベテランというベテランが飛び出して次男坊をヒットした相手選手に出動。相手チームからも次々と選手が応戦して大乱闘に。

今までは試合の熱がヒートアップしすぎて大乱闘なんて呆れてしまっていた私ですが、次男坊が原因で乱闘になると、勝手に感動してちょっと嬉し泣きです。

私は何もできないけれど、ちゃんと守ってくれるチームメイトがいる。もうそれだけで泣けます。

いつか彼がベテランになった時、後輩を守ってあげられよう、強く太くなって欲しい。でも今はしっかり守ってもらおう。

試合後、

今日は息子を守ってくれてありがとう。

と先輩選手に伝えると

We got his back. Don’t worry!
僕たちがついてるから心配しないで。って感じ?

また泣きました。青春だなあ。
残りのシーズン、誰も怪我をすることなく無事みんなでプレイオフに進めますように。

大分日が長くなってきました。久しぶりに夕方5時前にリンクまで送っていくと、随分明るい。
画像は会場に向かうドライブ中次男が撮影しました。

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