浴衣の洗い方
まだまだ暑いけれど、暦の上では立秋を過ぎ、朝や夜には秋の気配。そろそろ、夏祭りや花火大会で着た浴衣を仕舞いたくなってくる。
そこで、着物で暮らして7年が経つ筆者が実践している浴衣の洗い方をご紹介したいと思う。
浴衣を畳む
洗濯ネットに入れる
洗濯機でお洒落着洗い
脱水を10秒
着物ハンガーで陰干し
以上。おしまい。
「着物は洗えない」とよく聞くけれど、それはシルクの着物の話。今回みなさんにお伝えするのは浴衣、すなわち木綿の着物の洗い方。Tシャツやデニムと同じ素材で作られているのだから、同じように自宅で洗えるのである。
「浴衣を買ったはいいものの、洗えるか不安でまだ着れていない」
「クリーニングはお金がかかって嫌。手洗いもめんどくさい」
なんて方々の参考になればとても嬉しい。
浴衣を畳む
浴衣を洗うためには、まずは畳まないといけない。
なぜ畳まないといけないのか。それは、浴衣が傷まないようにするためである。
ふだん私たちが洗濯しているTシャツや靴下と比べて、浴衣は布面積がとっても大きく、洗濯機の遠心力が強くかかってしまう。水をたっぷり含んだ大きな布がぶん回されれば、どれだけ生地と縫い目に荷重がかかることか…。濡れた浴衣を持ったことのある人は想像しやすいだろう。
浴衣が裂けたりほつれたりしないよう、洗濯する前に畳まなくてはいけない。とはいえ、買ったときのようにきっちりキレイにする必要はない。あくまで浴衣を畳む目的は、浴衣が傷まないようにすることだから。
実際に私が洗濯する浴衣を畳む際に気を付けているポイント、そして手抜きしているポイントは以下の通り。
裏返してから畳む(表地の摩耗予防)
襟(首にあたるところ)が一番外側になるようにする(襟の黄ばみ予防)
縫い目に合わせてはおおざっぱに畳む
たったこれだけ。
※浴衣を裏返す際は、袂(袖の袋状になっているところ)の内側をしっかり確認することをおすすめする。ほこりがたまっていることがあるから。
洗濯ネットに入れる
テキトーに畳んだ浴衣は、洗濯機に放り込む前にネットに入れることをおすすめする。
浴衣を洗濯ネットに入れずに洗ってしまうと、洗濯機の中で絡まったり遠心力でちぎれてしまうため、ご注意を。
わたしは、洋服に使う普通の洗濯ネットを使っている。着物愛好家の中には、スラックス専用ネットをおすすめする方もいる。長方形に畳んだ浴衣を、スラックスと同じ要領でネットにいれるのだそうだ(今度やってみよう)。
洗濯機でお洒落着洗い
浴衣を畳んでネットに入れたら、あとは洗濯機を回すだけ。
しかし、ここでもちょっとしたコツがいる。
お洒落着用などの優しい設定にすること
脱水は10秒程度で止めること
普通に脱水しきってしまうと、それだけたくさんの遠心力が加わるため、生地が傷んだり浴衣が縮む原因になる。そして、浴衣がしわだらけになってしまうのが地味に、そしてかなりめんどくさい。
ただ「洗濯機スイッチオン!あとはよろしく~」とできないのは嫌かもしれないけれど、このひと手間でアイロンがけなどの手間を省くことができると考えれば、コスパはいいと言えるだろう。
※「脱水が始まったことに気付いてから止めに行けばいいや~」と油断すると、たいがい気づかず脱水しきって失敗する。ご注意を。
着物ハンガーで陰干し
洗濯が終わったら、あとは干すだけ。
浴衣を干すコツはたったのふたつ。
着物用のハンガーを使うこと
干す場所に気を付けること
洋服用の普通のハンガーは、肩の部分だけで洗濯ものを支えている。もし脱水しきっていないビタビタで重たい浴衣をそんなハンガーにかけてしまうと、生地が伸びてしまい型崩れの原因になる。文字通り「荷が重すぎる」のである。
まっすぐ棒状のハンガーで干すと、荷重が分散されるだけでなく生地がまっすぐ伸びてしわも軽減される。専用のハンガーを使ってもいいし、自宅にある突っ張り棒などを駆使して代用してもいい。
↑これは私も愛用している長めのハンガー。あずき色の普通サイズだと、男性着物には短いことがあるため注意。
浴衣を干す時は、ハンガーだけでなく干す場所にも気を付けてほしい。
具体的には、床が濡れてしまってもいい場所を選ぶようにすることをおすすめする。脱水しきっていないビタビタの浴衣は、石を穿つほど大量の水が滴り続けるから…。
むすび
浴衣は、Tシャツやデニムと同じ、ふわふわの綿花から作られた衣服に過ぎない。そんなに気負わず、楽しく着て気軽に洗濯すればいいと思う。
今回は洗濯機を使うことを前提にコツなどを紹介したけれど、それが面倒な人は手洗いでもいい。ようは自分が気持ちよく着られればいいのだから。
みなさんの暮らしが、より一層素敵なものになりますように。
おわり。