うつくしいひと
大事な人と会った。
友達のような、先輩のような、
間柄に名前の付け難いその方は御年80歳。
「歳を取って刺激的な出来事が少ないから」と、
私の近況を応援も否定もせず楽しそうに聞いてくれた。
私も彼から聞くお話が大好きで。
学年で1番小柄な孫が、運動会のかけっこで
一等賞を取った話。奥さんとのお見合いの話。
日本史や美術品への気づきや学びについて。
穏やかな生活の中でもなお、少し寂しそうな姿と
自分を磨き続ける姿が美しかった。
別れ際、さいごにぽつりと、
「僕は孫のようにゆきちゃんのことを思っているけど、でも結局は赤の他人だから、そのままでいいと応援できるんだろう。
親御さんに、こう伝えてあげて。
僕がいうことじゃないかもしれないけれど、
心配で反対したくなる気持ちもよくわかるけれど、娘さんのことを信頼してあげて。」
その言葉にどれほど、救われたことか。
会おうと思えばすぐ会える距離にいるのだけれど、
次会える確証もない。
ただ次にお会いするころには、ちゃんと少しでも前進した姿で会いたいと思う。
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