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「持続可能な発展」と連帯の必要性

国際環境法の発展の上で、ストックホルム宣言が、発展途上国における環境問題の大部分が低開発に起因すること、発展途上国の発展の重要性および発展政策が環境保全と両立すべきこと、途上国の環境保全のために援助が供与されるべきこと、を指摘・強調している点は、現在でも重要である。

その後、リオ宣言では、共通に有しているが差異のある責任が規定され、そこから二つの帰結が導かれた。一つは、途上国には先進国と比べてより緩やかな環境基準を適用する「二重基準」の採用である。もう一つは、先進国が「地球環境に与えた圧力及びそれが有する技術並びに財政的資源に照らして」、先進国が途上国の持続可能な発展を援助するというものである。

途上国に発生する汚染も、先進国による汚染と同様に、地球環境を悪化させるため、「二重基準」には、持続可能な発展という観点から、限界が見える。グローバル化された国際社会において、利益を得ているのだから、先進国による途上国の持続可能な発展の支援は、援助ではなく、果たされるべき責任なのである。

さらに、われわれの大量生産・大量消費という生活様式が、持続可能な発展に適合するように、是正されなければならない。「環境と発展に関する世界委員会」が1987年に公表した報告が指摘するように、持続可能な発展において、最重要の優先権が与えられなければならないのは、貧しい人びとの不可欠の「必要(needs)」である。

<参考文献>:松井芳郎『国際法から世界を見る第3版』


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