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紛争の平和的解決と調停

調停とは、当事者の和解を促進し、妥協による和解に導く手段であり、裁判のように、両当事者の主張に白黒をはっきりとつける解決とは異なる。調停においては、紛争付託の条件によっても異なるが、紛争解決の基準について、調停者が適当と思うなら、実定法を基礎とする解決を立案することも許され、また、政治的考慮に基づき紛争解決することも可能である。

調停委員選任方法は、両当事者にとって公平な方法でなされることが原則である。たとえば、当事者が同数の個人の資格からなる委員を指名し、他の委員を合意によって選任するなどが考えられる。

紛争の対象となる問題は、事実面、法律面その他紛争解決のために必要と認められるすべての方面から審査し、その結果に基づき当事者の和解を斡旋するのが、調停の仕事である。そのためには、委員会が公正妥当と認める解決条件が提示され、当事者に受け入れられなければならない。

調停は、当事者が委員会の審査の結論を採用して、これを基礎として直接交渉を開始して和解に至ったとき、または当事者が委員会の解決条件を受諾する意思を表示したときに、紛争は解決する。それゆえ、紛争解決は当事者の自由意思にかかるのであって、調停はこの解決を容易にする素地を作るものにすぎないのである。

<参考文献>:田岡良一『国際法Ⅲ』

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