おすすめTV番組「100分de名著」ペスト編

おすすめTV番組「100分de名著」で「この番組おすすめは、あまりピンとその時に来なくてもとりあえず録画媒体にとっておくのがおすすめである。なんとなく見流して後でピンと来て何回も見るということがあるからだ。」と書きましたが、この回がまさにそうでちょっと紹介したい。


『ペスト』は「きょう、ママンが死んだ」という書き出しで有名な『異邦人』の著者アルベール・カミュの著作です。

「ペスト」はアルジェリアの港街オランで発生したペストと孤立した街の中で戦う人々を群像劇の形で表現する。登場人物は、医師、神父、密売人、記者、公務員と様々である。「ペスト」のテーマはペストという不条理に襲われた「集団」がどのように生きるかを問うたもの。解説によると「第2次世界大戦」を「ペスト」に仮託した比喩であるとのことなので、どのように大戦中人々が生きたかを伝える部分もあったのだとのこと。

しかし予言かなと思うところも描かれているわけで、事態に目を背けようとしたり、あるいはストレスで享楽的になる人々が出てきたり。小説自体は50年以上も前の著作であるが、このあたりは小説の真実性というもののを思わされます。

さて、この番組で紹介されて心に残ったいくつかのことばを紹介したい。

ペストと生命の勝負で人間が勝ち得たものは認識と記憶だった。
ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもない。そしておそらくいつの日か人間に不幸と教えをもたらすために、ペストはねずみ達を目覚めさせをどこか幸福な街に送り込むのである。

「ペスト」は不条理と読み替えてもいいかも知れない。人間は不条理の中に生きている。時にそのことに絶望も覚える。この『ペスト』のことばをおぼえて思うに人間が不条理の中生きるのは、人間がひとつひとつの不条理を克服し、その中で「認識と記憶」を新しくすることなのではないだろうか。

今、我々は「不条理」のなかにある、それを越えた先では私たちは次のように語れるように有りたいと思う。

災厄のさなかで学んだことそれは、人間の中には軽蔑すべきものより賞賛すべきものの方が多いと語るために

この戦いは、これからまだまだ長引く予感がする。忍耐の先には人間への賞賛が待っていると信じたい。

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