二年目の街(original ver.)

ドラマより激しく雨が降る
ドラマではわからない臭いがする
鉛の蝉が百万匹鳴いてる
季節より先に消えていった人　人　人

父親は戻ってくる気配がない
恋人ともまだ連絡が取れない
路地裏で死んでる従姉のねーちゃんを
外国の兵士が犯し続けている

彼も心が死んでいた　理性が狂気に殺されていた
金属バットで殴り殺した　死体が二つだ
道に出れば百だ　二百だ　報復が怖い

空は汚れ　土煙色の太陽が昇る
みんな無事だろうか　俺はなんとか
生き残りはみんな　大切な人を失った
生き延びたところで帰る場所はないから諦めようか

誰にも見つからないように水を飲む
ボスは地下シェルターでコーヒーを飲んでる
ラブ＆ピースが旧時代的と言うのなら
国を動かしてるのは原始人に決まってる

米軍基地のある街　いくつか先には駐屯地
今　此処こそが時間の問題だ　逃げなきゃな
愛した故郷を町を家を猫を捨てて逃げなきゃな
明日やろうとしてたこと　将来の夢　捨てなきゃな

ボスと会って話す夢を見た　二人きりの部屋であいつ
「殺して殺してそして死ね」と言う

あゝ　お前らが死ねばいいんだ
争いがしたいならお前らでやればいいんだ
勝手にしやがれ

管理された国民は　兵士になれと言われたら
逃げ場もない　GPS　どこまでだって迎えに来るさ
食事中に　睡眠中に　夜半、お遊びの頂に
いよいよ鳴る絶望の音　敵地へ行けと脳を揺らすよ

やりたくない　やったこともない　殺す　殺される
今さら兵隊になれるほどの遺伝子は残ってない
やらなきゃやられる　本能で抗うんじゃ所詮野蛮で
アカデミックな戦力には太刀打ちできない

最初から勝ち目のない戦いを喧々と煽るスーツのハゲ
どれだけ戦いの必要を論じても煤ひとつつけやしない
綺麗なスーツ　高級ブランド　オーダーメイド　晴晴
ネクタイピンだけで俺の半月分の給料になるとかなんとか

あゝ　
お前らが死ねばいいんだ
争いがしたいならお前らでやればいいんだ
趣味に合わないゲーム

あゝ　お前らについて僕ら
興味を持たなかった　その報いがこのザマさ
また街が燃えている

ドラマより激しく雨が降る
ドラマより血生臭い最期の日
鉛の蝉が百万匹息絶えた
季節より先に消えていった　影もない　人

//2019.5.1　改題