剥ぎ取った先に(2024年2月19日の日記)
・Audibleで「なぜ銅の剣までしか売らないんですか?」を聞いた。作者のエフさんがやっているyoutube「Fラン大学就職チャンネル」はほぼすべての動画を見ていて、今も更新されるたびに見るくらいには好きだ。自分の就活期に重なる愚かさが思い起こされるが、それ以上に面白いし金融の話もあって普通に勉強になる。youtubeで公開していた長編「金融義賊」も本になっていたはずだ。「なぜ銅の剣までしか売らないんですか?」はドラクエの世界をモデルにしてかなりメタ的に経済や戦争の話が展開されていく。流行や市場の壊し方はおもしろかったな。
・明らかに上からホイップされた痕跡のあるケーキ。
・インスタグラムを見ていると、たまにホットプレートの前で大量のご飯を食べる人の動画が流れてくる。何だこれと思っていたけど、これが「モッパン」なんですね。前にAudibleで「三十路の反撃」を聞いていた時にも主人公の友達がモッパンが趣味で~というくだりがあったけど、何となく聞き流していた。ここまで大々的に食べているところを大写しにするのか。
・個人的には良さがよくわからなかったので「モッパン 良さ」で検索してしまった。大量に食べているところを見てストレスが発散されたり、一緒に食べている気分になれて良い、などがある。なるほどな。わたしは知らない人が大食いしているところに特に興味が無いし、何なら咀嚼のようすを見せ続けられることに若干ストレスを感じる。そして知らない人と一緒に食べている気分になることにもメリットを感じないから良さがわからないのか。
・自分のわからない文化に対して「なぜわからないか」がわかると安心する。わからない理由がわかる、とでも言うのか。自分がわからない文化に対して良さを見出す人たちに対してありえないとは全然思わない。しかし、自分が何をもってそこを受け入れられなかったのか、そこには自分自身でも把握しきれていない思想や主義があるように思うからだ。わたしはモッパンを通して初めて自分が「知らない人の食事風景をまじまじと見たくない」という考えを持っていることを知った。何なら知人だったとしても、ずっと見続けることは出来ないかもしれない。現実で食事をしている時は自分も食事をしているし、相手のことを凝視する時間はそこまで多くない。相手を見ている時はたいていが会話をしているから、お互い咀嚼をしていない時が多い。しかし動画は常に咀嚼のようすを見せられるのだ。特にモッパンはASMRの面も持つらしく、咀嚼音が大きめになるよう撮影されていることもわたしの拒否反応を強くする原因だろう。このことが無ければ考えもしなかったな。
・わたしはもう30年近くわたしをやっているが、それでも自分がどういう人間なのかわかり切っていない。いまだにこうやって自分の好きなものや嫌いなものが新しく現れることがある。まだまだ自分の内面には自分の知らない何かがあると思うと不安ではあるが、おもしろいとも思う。玉ねぎの皮を剥くように、剥ぎ取って中身を見ていきたい。剥ぎ取った先には何も残らないかもしれないけれど。
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