あの場でしか会わない人(2023年11月25日の日記)
・どうも人の顔と名前を覚えるのが苦手なんだよな。
・わたしが教師の道をあきらめた理由のひとつでもある。一番は過重労働だったからだけど。履歴書の資格欄には、いつも一度も使われたことの無い小学校・中学校・高校の一種免許状を書いている。一昨年やってた就活の時にも、書くとやはり面接で聞かれるから、一度書かずに出したことがあった。大学が教育学部だったので「免許は?」と聞かれた。どのみち聞かれるのでそれ以降は書いた。
・何回も連続で会えばさすがに覚えられるけど、期間があくとすぐぼやぼやと記憶にもやがかかってしまう。記憶に自信が無くなると、違ったらどうしようと思って見かけても声をかけられない。自分がそんな感じだから、数回会ったことのある人で奇跡的に自分が覚えていても、相手は覚えていないかもと思ってまた声がかけられなかったりする。服装や髪形が変わってもわからなくなる。何回か会ったことのある中学生が、高校生になって制服や髪形を変えていたりするともうわからない。今日はいつも髪を縛っていた子が髪を下ろしているだけでしばらくわからなかった。何となく会話をしている中で、ああ、この子あの子か。と思ったのだ。
・自分のお世話になった先生で、10年以上経って再開した時に「○○!」とすぐに名前を呼ばれて驚いた。担任ではあったけど、そこまで強烈に深く関わったわけでは無かったと思う。それでもこちらが名乗る前に顔を見ただけで確信をもって名前を当てられるのはすごすぎる。わたし以外にも今までに何百、何千と同じような生徒がいたはずなのに。そんな先生が、ひとりふたりでは無くこれまでに何人もいたのだ。わたしには無理だ。ただでさえ教師は生徒の数に対して人数が少ないから、あちらは覚えていて街中で声をかけてくることがままある。でもわたしは絶対にその相手の名前をすぐ言うことが出来ない。相手に「わたしは先生に覚えてもらえてないんだ」と思わせることはしたくないなあと思った。
・今日は吹奏楽の大会があって会場をふらふらしていたら、突然全然知らない人に声をかけられて「あの、わかりますか?」と言われた。わたしは自分が覚えられないぶん、人にも覚えられていないと思っているので、なるべく声をかける時は「どこの誰」と言うようにしている。経験上クイズ形式は一番困るのだ。中学生の大会だったので、ちょうど保護者くらいの年代の人だ。この年代に直接の知り合いは少ないので、おそらく楽器を教えた子の保護者だろうか。本当に全然思い当たる節が無いし、「ああ~!」でごまかすのも難しく困っていたら、よく行くご飯屋の奥さんだった。
・急激に頭の中のライブラリがぎゅんと唸りを上げて、ぱちんと記憶の奥さんの顔と目の前の人の顔が一致した。まさかこんなところにいると思わなかったから頭の中で候補にもあがっていなかった。しかしそれは向こうも同じだったらしく、いつも来る客だけど何でこんなところに、と思いながらわたしの顔を伺っていたらしい。あとでそばにいた知人に聞いたら、しばらくずっとわたしの顔を見ていたので不思議だったそうだ。
・今回に関してはちょっと特殊なパターンではあるものの、一応記憶の中に「ご飯屋の奥さん」は存在していたけど、髪形や服装が違っていたから全然つながらなかった。あのご飯屋でしか会わないものと思っていたのも大きい。そうだよな、人って生活しているんだもんな。
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