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法で裁けないやつらを島に集めました!(2024年4月18日の日記)

・アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を聞き終わった。感想と言うほどの感想も特に無いが、犯人の動悸が「まじで人間を殺したくてえ……本当にぶっ殺してやりたくてえ……」、「でも正義感から罪の無い人は殺せないからとりあえず法で裁けないギリギリのやつらを島に集めました!順番に殺します!」なのはちょっと笑ってしまった。清々しい。世紀末のYouTuberがやりそうな企画だ。

・とはいえ「殺人とは何なのか?」という点については考えさせられた。明確に殺意を持って毒を盛ったり殴ったり撃ったりしなくても人は殺せるということ。子どもを海に突き飛ばすのではなく、「遠くまで泳ぎたい」という願いに「いいよ」というだけで殺人を成せてしまうのだ。しかし直接的に殺していないとしても、それは世間的にであって、その人の頭の中には「自分が殺した」という意識が一生付き纏う。

・この話の犯人は毒を持ったり殴ったりを明確にやったわけだが、被害者たちはそこまで直接的な殺人をしていない。子どもを轢き殺した奴だけは結構直接的か。あいつまじで最悪だぜ。あれが法で捌けないカテゴリに入れられたのは時代なのだろうか。昔は飲酒運転が大した罪じゃなかったように、車で人を轢き殺すことも大して罪じゃなかったのか?そんなことある?

・この小説は典型的な「見立て殺人」の推理小説なわけだけど、実際やられた側としてはどういう心持ちになるんだろうな。不気味と言えば不気味だが、今回の「そして誰もいなくなった」の童謡「10人の小さな兵隊さん」は歌詞からもわかりやすく死因がわかるし、広間に兵隊さんの置物があったり、部屋に歌詞があったりとアピールがすごい。ノーヒントならそもそもこの歌に結び付けることも難しいが、「ここテストに出ますよ」というレベルで提示されているのだ。登場人物たちはもう少し内容に警戒した方が良いはずなのに、ちょいちょいと忘れて殺されている。


・かなり普通の犬が檻に入れられていて驚いた。狩猟犬だった。

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