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ぼくの写真を送ってにゃ(2023年11月20日の日記)

・知らない駅にいる。

・知らないと思うが、見覚えはある場所だ。夢には何度か見る知らない場所というものがある。今まで行った場所の記憶の断片で形成されたキメラ駅なんだろうな。

・駅の出口には横に長いひな壇が2段組まれていて、その上には10匹くらいの子猫が一匹ずつ小さなカゴに入れられて並んでいる。「保護猫、拾ってください」と書いてあり、周りの人間は皆その猫を見て「かわいいね」と口々に言う。猫たちはアニメのキャラクターのように不自然な愛嬌を振りまいているが、一匹だけハシビロコウみたいに険しい顔をした猫がいる。頭部が異様に大きい。

・わたしは職場に行こうとしていてその駅でエレベーターに乗り、職場がある階のボタンを押すも、途中で別のビルだと気付く。すでに時間は始業時間を過ぎていて「また遅刻してしまう」と思った。腹が痛いとでも電話しようかとスマホを探すが鞄の中に無い。この駅に来る前は家族が車で送ってくれたという認識があったので、走れば追いつくかもという謎の希望を持つ。

・いつの間にか知人が横に立っていて「もう遅刻だな~」と言う。知人はわたしと同じ会社に就職していたらしいが、「これで辞められるんじゃない?」と続けるので、辞めたいんだなと思う。スマホも無いし、遅刻は確定なので、連れ立って繁華街へ向かった。狭い路地裏の中華料理屋に入ると、奥の座敷から歓声とも悲鳴ともつかない声が聴こえる。覗き込むと全裸の人間がふたりでぴったりと体をくっつけていた。抱き合うというよりは、胸から腹にかけて皮膚がくっついて同化しているように見える。彫刻の様に動かないふたりを見て、わたしはもう剥がせないのかなと思う。

・最近あまり夢を覚えていられなくなった。前は起きて数時間、長い時は一日中夢の内容を覚えていられたが、最近は夢を見ても起きた瞬間から記憶が霧散する。夢日記はつけることで本来時間経過で忘れるはずの記憶が残り現実と夢の区別がつかなくなることから危険視されているから、忘れること自体は自然なはずだ。これまでもすぐに忘れてしまう夢はあったけど、もう少し少なかったように思う。脳の容量が減っているのかな。


・久しぶりにガストに行ったら、相変わらずネコのロボットが配膳をしていた。配膳してきた時に、客に料理を受け取らせる前に必ず一回転して、自分の帰りの進行方向へ向き直って進路を確保する様、急に「効率」を重視するロボ感があって良い。そこには人情とか思いやりみたいなものが一切介在しないから。

・知人が「あのロボットの足に雑巾つけといたら掃除も出来るんじゃないか」と言い出し、確かにルンバみたいになって良いかもと思ったが、汚い雑巾を引きずりながら動くロボットを想像してすぐに「だめだ」となった。ルンバみたいに吸い込めるのならまだしも、雑巾を引きずる仕様だと外から客が来る以上床はいつでも汚いからすぐ雑巾は真っ黒になる。汚い雑巾を引きずりながら料理を持ってこられるのは普通に嫌だ。店員が頻繁に雑巾を交換しないといけなくなるし、最悪何らかの虫の死骸を引きずられたら一発でSNSにアップされ炎上するだろう。そんな話をするわたしたちの傍らで、注文用のタッチパネルに「SNSに写真を上げよう!」というポップな煽り文と共にネコロボットが「ぼくの写真を送ってにゃ!」と言っている画像が流れていた。

何だと!?

・何でもかんでもセルフにさせやがってよ!!!!!!

・なめんなよ!!!!!!!!

あ!?

・どういうこと!?!?!!?

揉む……?

・パキパキパキパキパキパキ!!!!!!!!!!

うまい

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