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自我をなくす梅園(2024年3月24日の日記)

・またひとつの日曜が終わる。迫りくる月曜の朝にびっくりするほど憂鬱になっているな。

・昨日は午前中に中学校の部活にお邪魔し、午後は別の団体の演奏会の照明仕込みを手伝い、今日は朝から大会で複数人の伴奏を弾き、本番と本番の間で昨日仕込みをした演奏会の冒頭だけを見に行った。

・移動の途中で知らない田舎道を通っていたら、「〇〇学園」という看板があり、聞いたこと無いなと調べたら少年院だった。少年院の名前って学園が付くのか。無知だったな。あと道中の山付近で宗教法人のでかい看板があった。聞いたことの無い団体だったが、この奥に本部が……と多少興味を引かれた。山にはこういう施設がありがちなんだろうか。


・大会会場の近くに梅園があった。

・かなりの本数があったし花もそこそこ咲いていたのだが、日曜にも関わらず人はまばらだ。梅の満開状態ってあまり意識してみてないからな。もっと本気出した姿があるのか?それとももうピークを過ぎたのかな。でも足元を見ても花びらはそれほど落ちていない。

・桜ほど花をたくさん付けないから派手さには欠けるが、梅もいいものですよね。暖かくて風も無い良い日和だったので、そのまま梅園をぶらぶらしていた。小高い山の上でもあったので、眼下には町が見渡せる。毎日こうしてたいな。しかし毎日こうできるのはあと半世紀後だろうか。半世紀後も働かないと死ぬ事態になっていそう。嫌だ嫌だ。のんびり梅園を散歩しながら茶を啜らせてくれよ。

・結局定年を迎えた後もシルバー人材センターに登録して働くことにはなるんだろう。もうわたしたち世代が定年を迎える頃には「国民総労働時代」とか言われて、定年という概念すら無くなり、文字通り死ぬまで働き続けることになっているかもしれない。医療もさらに高度になって、活性アンプルを打てばあらゆる病気が駆逐され病気知らずの体になる。病院に通う必要も無くなるので、ある日寿命が来てぱったりと動かなくなるまで衰えを知らずに働き続けることが可能になるのだ。

・もうそんなことになるなら感情も殺してほしいな。労働期間が長くなるほど人間の神経は衰弱していくだろうし、若い世代は一生続く労働に辟易して鬱病人口に拍車がかかるだろう。活性アンプルの中には「ポジティブ因子」と呼ばれる強力な精神安定剤が含まれていて、打てば何事も前向きに考えられるようになる。もはやそこに個の自我は存在できなくなるだろう。わたしはそもそも精神の強度が高くないので、死ぬまで労働しなければならない世界なら、自我なんて失ってしまった方が楽かもしれないと思ってしまう。

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