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瞳を売る日(2024年1月6日の日記)

・この間東京に行った時に虹彩スキャンをしてきた。

・chatGPTの運営会社オープンAIのCEOサム・アルトマンが始めた生体認証プログラムで、人間の虹彩情報を収集するかわりに仮想通過を配布してくれるという猜疑心と好奇心がすごいバランスで拮抗している取り組みだ。

・将来的にはベーシック・インカムを実現させようとしているらしい。コンピューターのbotを排除してひとりひとり平等にお金が分け与えられるために、虹彩情報を登録することで確実に人間であるという証明がされる。そこに紐づいたアカウントにお金が定期的に入っていく。

・ちょっと前にニュースで読んで「すげえことする」と思ったけど、最近は急激にAIが発達して人間の仕事が取られる、みたいな話も出てくる中で、「人間の仕事なくなるならAIに稼いでもらえばいいじゃん」という流れになるのはわかる気がする。というかもともとそのための技術だろうしな。ただ奪われるだけの技術を作るわけはない。AI反乱系SFの序章って感じがしなくもないが。

・Orb(オーブ)という機械を使って虹彩情報を登録する。オーブて。ファンタジー系のゲームアイテムじゃん。銀色の丸い機械はいかにも未来、SFを感じさせる。こういう見た目の方がテンション上がるだろ、と言われているみたいだ。そのうち長い針金みたいな手足が生えて人間を殺し始めるけど、その本体には全人類の生体情報が保存されているから壊せないし、壊そうとしてもその頃には生体情報から生命維持装置みたいな機械にもアクセスできるようになっていて家族を人質に取られる展開になりそうな見た目をしている。たぶんマザーオーブと呼ばれるどでかいオーブがいて、小さいのは機動性のある子機として動き回る。

・虹彩情報という、今まで誰にも明け渡したことも求められたことも無いものの、「何か渡したらヤバそうなもの」をオープンAIに握られることに若干の抵抗はあるものの、それよりも「目の情報売って金もらえるのすげ~」という気持ちが勝ってしまった。正直仮想通貨の知識は全然無いので、そこは不安ではある。そういう知識の浅いやつを「おもしろそう」で釣ろうとしてるのかな?

・釣られてやるよ……お望み通りな!!!!!

・去年の夏頃に日本にもオーブが入ってきて登録が可能になった。上陸直後は予約もかなり混んでいたらしいが、今はもうだいぶ落ち着いていると聞いて、アプリをインストールしてオーブのある会場に予約を取った。東京には5件くらい場所があって、どこなんだろうと調べたら路地裏のバーやビルに入っているクラブっぽいところだったりとちょっと怯んでしまうような場所にある。もっとアップルストアみたいなところでやってるんだと思ってた。

・予約した時一番近場にあった銀座の会場を予約した。

・なかなか見つからなくてうろうろしてしまったが、道に「オーブあります」みたいな看板が出ていて見つけることが出来た。地図だと反対側の通りにあるって出てたぞ。

路地すぎる

・もしかしてやばいことをしようとしている?と不安が増す。8番通路では異変を感じたら引き返さないといけないんだよな。右に曲がる。

・見た時ちょっと「うおッ」て声が出た。ちょっとあまりにもな雰囲気で。

・隠れ家っぽくて良いけど、本当にバーとしてここに辿りつくの困難だな。ある程度レベルが上がってから進めるようになる道の先にあって、重要な隠しアイテムを売ってる店って感じだ。

レベル60にならないとそもそもここに入れない

・登録自体は3分くらいで終わった。オーブが人間かどうか考えている間、進行度によって穴の周りにある光が徐々に円を描いていくのだが、それがちょっと引き返す時があって、人間だと迷われているようで若干不安になった。

・これは完全に店側のあれなんだろうけど、オーブの横に金色のコインが何枚か積まれていて、「仮想通貨って実体あるの?」と思ってしまった。ただのインテリアだったらしい。仮想通貨のサイトに接続するのに必要なデバイスで、登録したら1枚くれるのかなとか色々考えちゃったな。

・これでわたしは虹彩情報をオープンAIに売り渡し仮想通過を得たらしい。情報のみとはいえ、自分の体の一部を売ったことになるので何となく臓器売買に近い気持ちがある。数年後にこれでベーシック・インカムが実現して「あの時やっててよかった~」となるのか、アルトマンが集めた虹彩情報でとんでもないことをしでかして「大悪党じゃねえか!!!」となるのか、伏線回収が楽しみだな。

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