🍃　来所の機会からのファーストインプレッション（第一印象）　🍃

学校関係者、行政、相談事業所、対象者のご家族、または対象者ご自身からご連絡を受けて、当事業所へ日々、ご連絡をいただいた方々とお会いする機会があります。私は、ファーストインプレッションを支援の入口として、大切にしています。
初めて訪れる場所で、玄関先から、その場所の雰囲気（人・環境）を感じ取ることができます。一歩中へ入れば、空気感、中に居る方の非言語的な様子が、醸し出されるのです。対応者の「お待ちしておりました」、「こんにちは」との言葉から、今、持っている心模様が相手に伝わるものであります。＜訪問者のファーストインプレッション＞

対応者は、訪問者の装い、しぐさ（動き、目線、表情）、言葉（発生の仕方、スピード、言葉の流れ）がまず飛び込んできます。そして、緊張がとても高い方、言葉の自己表現が少ない方、自信がなく心を伏せている様子が垣間見られることもあります。＜対応者のファーストインプレッション＞

これは、相互に存在している”ファーストインプレッション”の場面です。
今、記した場面を他覚的に眺めてみると、双方の意気が合うか？すれ違う印象か？ゆっくりと近づいて合致できるか？など、いろいろな視点での想像がグルグルと頭によぎるのです。

事例についてのお話

一つの事例をお話します。
私が対応者となった時、当事業所へ見学希望で来所された人は、養護学校３年生。
同行されたのは、対象者のご両親と学校の先生（進路担当の先生と担任の先生）です。対象者の表情は、苦悶されていて、片足を揺らし、緊張も高そうに見えます。対応者が説明をしたり、問いかけたりしても目線は下を向いて何も話せない様子です。　ご両親は、とても静かな雰囲気で、対応者の問いかけなどについては、落ち着いた声でお話をされていました。学校の先生（進路担当の先生）は、何度か当事業所を訪れていてくださり、また当事業所の活動やカリキュラムの特徴などは理解されています。先生は、対象者の様子を見て、長居できないと思われている様子でした。でも、今後の進路で一つは、当事業所の見学や支援の内容、支援者の声を対象者とご両親へ直接、見聞きしてほしい主旨は、先生の雰囲気で伝わりました。
最初の訪問は、10分程度でした。それから数日後、先生からのご連絡で、短い時間（１～2時間）で先生が付き添われた条件での体験実習のご依頼が入りました。
その後、先生と2時間滞在の体験を行いました。困ると、担任の先生に何か伝えている様子があります。それは、小さな声であり、それほど苦悶なく担任の先生へ話しかけている様子でした。予定で決めた2時間の体験を終えました。

1か月後に、また進路担当の先生よりご連絡がありました。当事業所の体験を終えて、面談をしたところ、他の事業所をみたいとの希望があったとのことです。そのお話を聞いて、私は、対象者の意向（自己表現）が先生へ伝えられたことは、ファーストインプレッションでは想像できなかったので驚きました。でも、これから先生方と相談を重ねて、進路は対象者が決めていけるものだと安心した思いもありました。そこから、数か月経ち、卒業間近の時に、進路担当の先生から、ご連絡がありました。いくつかの事業所を見学しましたが、ご本人は、「ここに決めます」という意思決定がなかったとのことでした。
先日、ある事業所見学で、感想を聞かれた時に、当事業所の名前を出し、ここに通いたいとの声があがったとのことでした。そのため、もう一度、実習をお願いできないか・・・とのご依頼でした。前回は2時間の実習だったので、もう少し長い時間で実習をされて体験し、進路先を決められた方が良いのではないかと先生へご相談をし、10日間の実習の予定をとなりました。お昼を挟むこと（昼食をとること）にストレス度合いが高く、環境に慣れるまでは午前中で終了し、お昼については、実習中は当事業所の支援者と相談しながら進めていくことにしました。休まず、通所され大きく表情や行動に変化はなく、予定どおり10日間の実習を終えました。

最終的には、卒業後、当事業所との契約となりました。学校時代とは対照的に、毎日休まず通所されて、訓練を積まれました。お昼も給食を希望されて、メンバーとお昼のひと時を過ごすことも出来るようになりました。そして、一番苦手だった環境変化については、面接試験、雇用前実習等、いくつかの就労へチャレンジをする姿勢を続け、3年間を過ごしました。

最終的には、ご縁ある雇用先への就労の出会いが就労移行支援事業の期間内には達成できませんでした。そして、現在、当事業所の就労継続支援B型事業へサービスを移行されて、引き続き、就労を目指して訓練を積まれています。先日、当事業所の就労講習に参加され、久しぶりに、ご本人とお話をする機会がありました。「目標は、就労です」との声に、この記事を書こうと思いました。

最後に

ご縁があって、出会いがあり、3年間を振り返ると、「時間」をともに共有させていただき、ふれあいを持つことによって、「時間」というものが、とても大事な支援となったのではないかと思います。ファーストインプレッションの飛び込みから想像もできなかったことが、機会があってこのような月日を過ごすことが出来、また今後も、共に過ごす時間が、どこまで続くかわかりませんが、先日お聞きした「目標は就労です」のご本人の変わらない声に、これから私は、どれほどの機会を提示できるだろうか・・・とあらためて感じました。また、ご本人が3年前と同じ就労へ希望について、これからの「時間」をさらに前進するべく、就労へ結ぶ支援を続けたいと気持ちを奮い立たせてくれる出来事でした。

”念ずれば、花開く”　

思いを寄せ合って支援を続けていきたいと実感しています。