見出し画像

2021年6月8日のKOCOラジの放送内容です|BloomingDays PLUS -日々是好日-|倉嶋桃子

2021年6月8日(火)

みなさん、こんにちは!倉嶋桃子です。

6/7、6/8と続けてお蕎麦に関する話題を番組で取り上げましたが、皆さんは「江戸蕎麦御三家」といわれる系統があるということをご存じでしょうか?。

画像1

それは、「砂場(すなば)」「藪(やぶ)」「更科(さらしな)」の三暖簾のことをいいます。

昔からお蕎麦屋さんには、よく似た屋号の店があちこちにあるのはどうしてだろうと思っていましたが、どの系統も1軒のお蕎麦屋さんから始まり、兄弟や親戚、弟子などが暖簾分けをして広がったという理由からだそうです。

では、この御三家にはどのような特徴があるのでしょうか?

御三家の中で最も古い暖簾「砂場(すなば)」は、大阪城築城頃の天正12年(1584年)に前身となる「津国屋(つのくにや)」として創業したお店が始まりと言われていて、大坂城築城の際の資材置き場だった砂場近くに店があったことから「砂場」と呼ばれるようになったそうです。
大阪で繁盛したことで、江戸時代中期頃、江戸に進出し広がっていきますが、大阪には、現在、砂場の暖簾を引き継ぐお店は残っていないそうです。

画像5

砂場の味の特徴は、甘くて濃いめの蕎麦つゆ。
出前の多かった砂場では、蕎麦が配達の間にべとついてしまわないよう、入念に水を切らなければならなかったため、食べる頃に、表面から水が引いてしまった蕎麦に、たっぷり浸けても辛くない蕎麦つゆになったようです。
ちなみに、蕎麦自体は、蕎麦の実の中心部分のみを挽いて作られた白い蕎麦が使われています。

画像3

一方、緑がかった蕎麦の色が特徴なのが「藪そば」。
これはソバの実の甘皮の色で、蕎麦の殻をぬき、実を挽きおろして使用しているため、啜ったときの香りもよいと言われています。

「藪(やぶ)」のはっきりとした発祥はわからないものの、1735年(享保20年)の『続江戸砂子温故名跡志(ぞくえどすなごおんこめいせきし) 5巻』に藪そばが存在していた記載があります。
また、「藪そば」の発祥の店は、本郷根津の団子坂にあった「蔦屋(つたや)」と言われており、1833年江戸後期の漢学者・松崎 慊堂(まつざき こうどう)の日記には、「蔦屋」でお蕎麦を食べた旨が書かれていることから、この年にはすでに営業していたと思われます。

画像4

「藪そば」という名は、土地の人たちがつけた俗称で、この坂の周辺には大きな竹藪があり、その竹藪に囲まれたそば屋ということから「藪そば」と呼ばれるようになったとか。
明治13年(1880年)に浅草蔵前のそば屋「中砂」の四代目・堀田七兵衛が、神田連雀町の「蔦屋」の支店「団子坂支店・藪蕎麦」を譲り受けたのが、現在の「かんだやぶそば」の始まりと言われています。

画像10

藪そばの味の特徴は、辛めの蕎麦つゆ。
辛さは御三家の中では一番辛いと言われています。
ですが、「それはかつての話です。藪の暖簾を継いでいても『こうあるべし』という縛りはなく、むしろ時代に合った味を作るのが教えでもあるのです」という話を、築地藪そばのご主人鵜飼さんはコメントしています。

はじめに作られていた辛い蕎麦つゆの理由は、藪そばのお客さんにせっかちな職人が多く、茹でたての麺にさっとつゆをつけて食べるために考えだされたと言われています。
茹でてすぐ提供され蕎麦は、しっかり水切りされたものでも表面には水気が残っているので、蕎麦の端を、少しだけつゆにつけて啜るくらいが藪そばの美味しい食べ方だとか。

画像5


では、「更科(さらしな)」のルーツはどうでしょう。

寛政元年(1788年)、信州出身の八代目堀井清右衛門(現・「更科堀井」初代布屋太兵衛)が、領主に布屋からそば屋への転身を勧められ、江戸の街・麻布永坂町(ながさかちょう)に「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」の看板を掲げたのが始まりとされています。
更科の「科」の文字は、領主であった保科家に由来するのだとか。

更科は、1941年の金融恐慌等により、一度廃業している関係で、屋号騒動があり現在の創業筋の屋号は「更科堀井」となっています。

画像6

更科の蕎麦の特徴は色白の蕎麦の色。
蕎麦殻を外し、精製度を高め、胚乳内層中心の蕎麦粉(更科粉、一番粉)を使った蕎麦です。
このように精製された粉で打たれた蕎麦は、1750年頃にはすでに存在していたようで、更科の特徴と言われるようになったのは江戸末期からだとか。
また、砂場の蕎麦同様、出前の多かった更科の蕎麦は、淡く甘めのつゆにたっぷりと漬けて食べるのがおすすめだそうです。

暖簾ごとの歴史を感じながら、特徴あるお蕎麦を味わうと、より一層美味しく感じられるかと思います。

画像7

さて、今回の放送内容ですが、「今まで食べていた蕎麦っぽいものについて」をテーマにお送りいたしました。

画像8

特設サイトでは、ココラジで毎週放送している「Blooming Days PLUS -日々是好日-」をはじめ、毎週月曜日に放送しているFMひがしくるめの番組「Blooming Days -日々是好日-」、ラジオでは放送していない「放送後記」や「放送予告」も、ポッドキャストでお聴きいただけます。

画像9

従来のPodcastは、著作権の問題で音楽を除外したトークのみのものでしたが、クラウド音楽サービスを利用することによって、ラジオ放送と同じ構成で、トーク・番組内でかけた音楽、両方をお聞きいただくことが出来ます。
お聞きいただくには、アプリのインストールが必要ですが、無料のプラン(Spotify Free)でお聞きいただけます。 期間限定でもなければ、登録にクレジットカードも必要ありません。

ぜひアプリをインストールしてお聞きください。
また、番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。
「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。
特設サイトのメッセージボード、または、KOCOラジの メッセージフォームにて、皆様からのメッセージ、ご感想をお待ちしております。
今週もみなさまにとって素敵な1週間になりますように。
倉嶋桃子でした。

<参考資料>

江戸から続く蕎麦御三家 | REKISHOKU.jp
https://www.rekishoku.jp/ja/story/127

江戸前の三大そば、「藪」「更科」あとひとつ知っていますか? | 三越伊勢丹の食メディア | FOODIE(フーディー)
https://blooming-days.njs.xyz/zzhd

「砂場そば」-のれん御三家-大阪が発祥 特徴や名店をご紹介 - おそばだヨ!全員集合
https://blog.sobahonda.co.jp/noren-sunabasoba/

藪 (蕎麦屋) - Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/rkzj

画像11


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?