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ストーリーと話し方ですぐ変わる! ぐっと伝わるプレゼンセミナーー ビジネスの新スキルセット・マインドセットVol.4

今年6月に『伝わるプレゼンの法則100』(大和書房)を出版された渋谷雄大さんに、伝わるプレゼンの極意を伝授いただきました。渋谷さんご本人のプレゼン自体も楽しみに集まったわれわれを前に、とても自然体な渋谷さんのプレゼンがとても自然に始まりました。

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『伝わるプレゼンの法則100』2019/6/23 大和書房 吉藤智広・渋谷雄大(著)

もともと鍼灸師(そしていまもその仕事も続けている)渋谷さん。(なるほど「ツボを押さえる」のがうまい…!)

本著は3部形式。渋谷さんが担当された「ストーリーをつくる」「本番で話す」にフォーカスしたセミナーとなりました。(文・片岡峰子/写真・小山龍介、片岡峰子/グラフィックレコード・ゆぴ)

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次のプレゼンが楽しみになる!

「プレゼン苦手な人?」ぱらぱらと手が挙がる。「この講座のゴールはずばり『次のプレゼンが楽しみになる!』です。どうもネガティブなイメージを持たれがちなプレゼンですが、そのイメージを変えるための講座です!」渋谷さんからはさっそく、プレゼンにとって大事な要素のひとつ「ゴールを伝える」がなされました。

よく言われることだが、プレゼンは相手への「プレゼン」ト。贈り物だ。でも、いざプレゼンとなると、「どうしよう、うまくいくかな。緊張してしまう」と思ってしまうひとも多いのでは? 渋谷さんは、それを「自分目線の気持ち」と呼ぶ。

さらに、こちらが伝えたいことばかり、たとえば売りたい商品の情報や機能ばかりを連呼するのも自分目線。それを捨てて「相手は喜んでくれるかな」と相手の立場に立つだけで心持ちが変わる。それを忘れないために「このプレゼンが何のためになされるのか」を記した一枚を差し込む。

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情報や機能+αで「自分ごと」に

目的を達するためには、相手にいかに自分ごととして聞いてもらうかも重要なポイント。それには情報や機能だけでなく、その先の姿を見せることが大切。

「子どもでも持てるくらい軽くしました」(情報
 ↓
「だから気軽にレイアウト変更できますよ」(未来の姿

これを示すためには、相手がいまどういう状況にあるのかを把握することが必要。

渋谷さんのプレゼンは「いま、半分くらいきました」とか「あと3つです」など、いまどの地点まで来ているかを明示される。わたしたちの集中力を持たせるためだ。

5分でも30分でも、30秒でも軸はぶらさない

ところで、プレゼンを聞く側からすると、たとえば1時間、ひとの話を聞いてその内容を即座に思い出せるだろうか? 聞いているときには「ふんふん」とうなずいて納得もしていたはずなのに、「あれ、内容なんだっけ」とスルスル思い出せないこと、ありませんか?

そうさせないために強調しておきたいのは「キーメッセージ」。このプレゼンで伝えたい内容を「一言にまとめた」もの。これがちゃんと伝われば、たとえばこのプレゼンを聞いたひとがまた他の人に伝えるときにも有用だ。(営業マンにはよくありますよね。自分が直接話した担当者が社内で上申するとき。キーメッセージが伝わっているのといないのでは結果が大きく異なります。)

キーメッセージが決まれば、プレゼン時間が5分であろうと、30分であろうと、30秒であろうと、軸はぶれない。キーメッセージを織り交ぜて話す。もっとも外してはならないポイントのひとつだ。

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スライドは流れるように〜

プレゼンする側の緊張は、聞き手にも伝わる。「なんか不慣れな感じ」「なんか違和感」みたいなこともぜひとも避けたい。聞き手に違和感を持たせず自然に聞いてもらうために大切なのはリズム。コツのひとつはスライド切り替えのタイミング。次のスライドに移る間につなぐ言葉を入れること。「〜という事実が浮かび上がってくるんですね。そこで、こんなふうに考えました」みたいに。

相手目線の自己紹介

さて、プレゼンのコツをひと通り伝えられた後は、自己紹介。これまでのポイントがずらり並び、さてどれに気をつけたらよいやらと困惑する参加者に対して渋谷さんから「いくつか気をつけるポイントをピックアップしてみてください」とアドバイス。

もちろん「自己紹介」もプレゼンのひとつ。何十年も紡いでいた自分の人生のなかで、何を取り上げてどう伝えたら相手のためになるのか? そんなことを考えながらペアをつくってプレゼンし合う。

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「抑揚」はつけるのではなく、自然につくもの

プレゼン講座でよく言われることーーー「抑揚をつけて」。たしかに一本調子で長く話されると飽きるし、内容も入ってこない。声を大きくしたりスピードを上げたり、間をもたせたり……。テクニック的にやってみるのはさほど難しいことではない。が。もっと大事なのは、そこに自分の気持ちが乗っているかどうか。わくわくしているか。自分も感動しているか。「主観的なことばを入れる」というのもポイントのひとつとしてあげられていたが、感情のこもったことばには自然と抑揚がつくものなのだ。

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自然な「あり方」

セミナーの最後の30分は、小山龍介(CONCEPT BASE Shibuya主宰、株式会社ブルームコンセプト代表)との対談となりました。

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小山:presentという単語には、贈り物という意味の他にも「現在」とか「出席している」という意味があって、presentもpresentationも語源は同じ。preは「前もって」sentは「存在」という意味。プレゼンテーションは、「すっと」ここにいる、ということが大事なのではないかと。そして即興的に場の雰囲気を感じ取ってそこにベストなものをプレゼントする。そういうあり方が問われているように思うんですが、そういう意味で渋谷さんの「あり方」はとても自然で、そこに極意があるのではないかと感じます。

渋谷:いわれてみれば、最近緊張することがなくなりました。自然とその場で動きながらそこにいる感じです。

小山:コーチングを学んだときに「dance in the moment」という表現がありましたが、どちらがリードするというわけでもなく、その場で相手に合わせて自分も踊るように関わる、というような意味ですが、プレゼンも「これを売ってやろう」とか、相手をコントロールしようとする思惑が表に出た途端に台無しになるような気がします。そうならないためにはどうしたらいいんでしょうね?

渋谷:自分の「スキ」っていう気持ちですかね。本当にスキでいいと思っていて、自分の大切なひとにこれを教えてあげたい、「こっちおいでよ!」っていう気持ちがあるか、ないか、ですかね。

小山:「共にいること」で勇気づけられることもありますよね。究極のプレゼンは、何も喋らないでそこにただ「いる」ということ。場に寄り添う、場をどう感じるか、につながるかと思うんですが、渋谷さんはどんなふうに場と対峙していますか?

渋谷:場を「コントロールする」というよりは「整える」というのに近いと思います。会場内の温度や椅子の座り心地などの環境づくりも含めて。場への関与の仕方もプレゼンの一部だと。

小山:アクシデントがあって慌ててしまうということも場を乱すことになりますよね。前に立っているひとの立ち居振る舞い「あり方」が場に与える影響は大きいですね。

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ただ「共にいる」だけでもプレゼン。そんなことばが印象に残りました。予定調和的なプレゼンは退屈。自分が感動したことは心に残っていて、その記憶はすぐに呼び戻せるもの。いかにそういう経験を積んできたかが人の心を動かす。最後はプレゼンも含めた「生き方」について考える時間となりました。

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『伝わるプレゼンの法則100』共著の吉藤さんにもぜひここにご登壇いただきましょう!というお話も出ています。ひとつの講座が次の講座を連れてくる……。今後のCONCEPT BASE Shibuyaイベントも乞うご期待!

渋谷雄大(エバンジェリスト)

株式会社MOVED代表取締役社長 / サイボウズ株式会社 エバンジェリスト
東京メディカルスポーツ専門学校鍼灸科卒業、シドニーで鍼灸師・スポーツトレーナーとして活動。帰国後、独立などを経て、ICTコミュニケーションズ株式会社にてIT業界へとキャリアチェンジ。ITサービスの導入研修や資格試験の設計などを経験。2015年よりサイボウズ株式会社kintoneエバンジェリストとして、年間140回を超えるセミナー・講演活動を担当し、kintoneの認知拡大・ユーザー数増加に貢献。2018年9月株式会社MOVEDを創業し、プレゼンテーション研修やイベント・展示会支援などを展開している。


















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