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皇居は知ってから行くべし!【外苑編】

「皇居を歩く」第4弾は皇居となって久しくも、江戸城らしさはどれほど残っているのか見つけに行ってみたいと思います。外苑・東御苑・北の丸公園を巡る場合は、外苑の桜田門からが巡りやすいのでそちらから参ります。
前回掲載の「江戸城古写真と現在の比較」と合わせてお読みいただくと、皇居めぐりも楽しくなると思いますので、ぜひご覧ください。


皇居外苑

現在の皇居外苑の地図

外苑は宮内庁の管理ではないため、いつでも手荷物検査無しで気軽に入ることができます。ここ外苑は、江戸時代には「西の丸下」と称されていたエリアで、親藩や譜代の屋敷があった所です。まずは桜田門から外苑に入ってみたいと思います。


①桜田門

正面は高麗門、入って右が外桜田櫓渡門

東御苑(旧本丸)と外苑(旧西の丸下)を繋ぐ桔梗門の正式名が内桜田門といい、それに対しこちらを「外桜田門」ともいいます。徳川氏が入城した当初は「小田原口」と呼ばれており、その後江戸城の南側が桜田郷であったことから桜田門と名付けられました。周辺の石垣は真壁藩浅野家が築いたと言います。
1860年に大老井伊直弼が暗殺された「桜田門の変」があったのはちょうどこの辺り。

高さ11メートル、幅は35メートルもあるらしい

日頃から訪問客の入場や皇居ランナーのショートカットコースとして利用されていますが、文化の日のみ特別に桜田門と手前の高麗門が日中も閉門されます。閉じているところは普段中々見られない姿。その時だけは来訪者は大扉の左隣にある潜り戸から入ります。また2019年ごろからは、お堀、石垣、和田倉橋、楠木正成像とこの桜田門が日没から21時までライトアップされるようになっています。

櫓跡・二重橋濠・皇居前広場

桜田門を抜けると皇居前広場に出ます。中世と現代が織り成す時代ギャップがすごい。

内側から見た桜田門

桜田門は、振り返った時に見える景色が高い石垣と濠の形といい、姿が良いです。ちょうど警視庁本部庁舎が見えます。


②正門石橋

皇居外苑にある正門

桜田門から北に200mほど進むと正門石橋が見えてきます。この先に皇居正門があります。江戸時代には西の丸大手門と称されていた門です。

飾電灯の先に儀礼服姿の皇宮護衛官がいます

通常は入れませんが、一般参賀と信任状捧呈式の儀装馬車が通行する際に開門されます。基本的に賓客をお迎えする門で、皇室方は半蔵門と坂下門を使用し、正門は使われません。参内は正門、還路は坂下門です。


③坂下門

坂下門も儀礼的に用いられます

二重橋から200mほどのところにあります。駐日大使が捧呈式のあと東京駅へ向かう際に使われ、天皇皇后両陛下のお車が出られる際に使われることもあります。私はまだお見かけしたことはありませんが、来訪者に向かってお手を振って下さるそうです。

門までのアプローチがすごい

一般来訪者は、春と秋の乾門公開の時だけここから入場できます。皇室行事に使われるため、正門と坂下門の二つだけは、蔦や雨だれも無く特に綺麗です。


④桔梗門

こちらも普段は閉ざされています

坂下門から200mほど。徳川氏が入国した当初から江戸城にあった門で、太田道灌の細桔梗紋があしらわれていたため、当時から桔梗門の別名があったといいます。

正式名は内桜田渡櫓門

正式には「内桜田門」といい、通常は宮内庁職員しか使用できないませんが、日・月と皇室行事がある時を除き、午前と午後の2回一般参観することができます。

桜田巽二重櫓

坂下門すぐ右側にあるのが、巽二重櫓です。本丸の巽(東南方向)にあるためこの名が付きましたが、坂下門にも巽櫓がったため、前者の二重櫓を「桜田巽櫓」、後者の三重櫓を「蓮池巽櫓」といいました。


⑤和田倉門跡

手前が和田倉門跡、奥はパレスホテル

桜田巽二重櫓から大通りを越え、日比谷通りまで出て北側にあります。江戸城跡に残る木橋は平川門と和田倉橋だけ。高麗門台座、渡櫓門台座が綺麗に残っています。

10:00~20:00  1時間に1~2回噴水が上がります

和田倉門を抜けた先に和田倉公園があり、ちょっとした憩いのスペースになっています。休憩以外であまり用途の無いハコモノだった和田倉無料休憩所は、現在スターバックスになって、冬場のテラス席でさえ空席が無いほど混んでいます。


⑥馬場先門跡

皇室行事に使われるわけではないけどだだっ広い

和田倉門跡から南に700mほどのところ。元々は幅9m程度の木橋でしたが、現在は約80mもある舗装された道路になってしまったため、見附としての防御施設は何も残っていません。

高い建物が近くに無いので、暖かい日は最高に気持ちがいい

皇居前広場側の芝生は立入禁止ですが、同じ外苑でも馬場先門側は遊歩道があり、芝生に入って寝転んだりできます。


⑦楠木正成像

楠木正成は倒幕・尊王の象徴

高さ4メートル、台座を含めると8メートルという巨大さで、上野公園の西郷隆盛像、靖国神社の大村益次郎像とともに「東京の三大銅像」といわれています。
この他、大手門近くの和気清麻呂、北の丸の周辺に北白川宮能久親王・吉田茂、九段坂公園に大山巌・品川弥次郎の5体がありまが、いずれも天皇の忠臣、尊王派、大日本帝国軍創設期に功績のあった人たちです。吉田茂は戦後復興と象徴天皇制を採って天皇家を守ったということなんだろう。たぶん。

皇居外苑の隅っこにあるので人気があまりない

楠公レストハウス
楠木正成像の先には、団体バスの停留所とお土産と食堂の入るレストハウスがあります。ここでは菊花紋の入ったお菓子や日本酒の種類がどこよりも豊富で、三の丸尚蔵館前や本丸(皇居東御苑)にある売店よりお土産が充実しています。
そして、皇居中の販売所で菊花紋のお土産が売られているのですが、徳川の葵紋が入ったお土産は皆無という徹底ぶり。


⑧祝田橋

見晴らしの良さと、排ガス被害も無いのでランニングを楽しむ人も多い

1906年の日露戦勝記念事業の一環で架けられた橋で、橋名由来はこの辺りに祝田町があったからなのですが、祝田町の町名由来は太田道灌の時代にこの辺りを祝田村と称していたことに因みます。

昔は「凱旋通り」という名前がありました

江戸の地名は、好字というか佳名らしき地名が目立ちます。幸町・新栄町・新富町・高砂町・宝田村・宝町・富沢町・富島町・福田村・錦町・弥生町・芳町そしてここ祝田村と、いずれも江戸城の東側に偏っています。古い時代から何か産業に富んだ地だったのでしょうか。


終わりに

皇居を歩く第4弾は”江戸城らしさ”がまだ残っている場所をメインに、観光スポットとしての魅力もあるところを積極的に探してみました。
特別史跡旧江戸城跡は、徳川将軍家の居城の遺構としてはある程度健在ですが、天守閣が復元されることは無く、拝観方法を知らないと櫓も巽櫓しか見られないのでお城としての人気もイマイチ。徳川色を前面に出したグッズやゆるキャラも存在せず、皇居である以上テレビ番組などで紹介されることはほとんど無いので、一般参賀に興味が無ければ、訪れる機会も無くなってしまうのは勿体ないところですね。

皇居が一望できるスポット

パレスホテル 丸の内1-1-1

客室・プリヴェール店内などから見られます

パレスホテルからは、皇居外苑を一望できます。眼下には和田倉公園、遠方に霞が関の法務省旧本館、警視庁本部庁舎を見ることができます。


東京ミッドタウン日比谷 有楽町1-1-2

3階テラスから

ミッドタウン日比谷からは日比谷濠、皇居外苑が見られます。また帝国ホテルのインペリアルラウンジアクアからもほぼ同じ景色が見られます。


丸の内ビルディング 丸の内2-4-1

35階展望スペースから

丸ビルからは、皇居外苑、桜田門、桜田濠、法務省旧本館、警視庁本部庁舎、国会議事堂、遠方に大山、丹沢山、富士山などが見られます。


パレスサイドビル 一ツ橋1-1-1

屋上から

竹橋、帯曲輪、平川門、平川濠、宮内庁庁舎、遠方に東京タワーが見られます。屋上の東側に移動すると大手門を眼下に望むこともできます。


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