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新しい公共のサウンドスケープ

最新ムック『NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』のインスピレーションとなった音楽を、企画・編集・執筆担当の若林恵がセレクト! 

『次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』というムックでやりたかったことを一言でいえば、人や環境の固有性や一回性を前提とした社会があったとして、それはどういう仕組みを制度として備えたものなのかを再想像してみることではなかったかと思う。そうしたことに思いを巡らせるにあたって固有性と一回性のかたまりでしかない音楽というものは、よいインスピレーションになってくれる。何がどうロジカルに、このムックにつながっているのかよくわからないものも含め、せめてBGMとしてでも役に立つよう、いくつかの作品とプレイリストをあげておこう。

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Kate Tempest/ The Book of Traps and Lessons
英国の壊れた社会の様相をスポークンワードで吐き出す当代きってのストーリーテラー。「古いやり方は終わらねばならない」「more empathy, Less greed, more respect」「違うやり方はないのか」と切々と語る「People's Faces」に涙。


Makaya McCraven/ Where we come from (London × Chicago Mixtape)
シカゴとロンドンの草の根ジャズシーンをつなぐ。そこで起きる創発を、結果ではなくプロセスにおいてドキュメントする。ジャケットの写真はロンドンのDIYインキュベーションスタジオ「Total Refreshment Center」の天井。


V.A./ The Time for Peace is Now- Gospel Music about Us
アメリカにおいてユニークなグローバルミュージックを果敢に紹介してきた優良レーベル「Luaka Bop」が、分断に苛まれる世界に向けてオブスキュアなゴスペル音源を発掘・コンパイル。カニエのゴスペル転向にも通じる一枚。社会が音楽に癒しの力を求めている証か。


Kanye West/ Jesus is King
問題児カニエの問題作。その真意は測りかねるが、きっとどこかで時代感を表してはいる。詳細はムック内のコラム「カニエ・ウェストのコミュニティデザイン」を参照。


Golden Teacher/ No Lucious Life
グラスゴー出身のクラウトダンスバンド。メンバーにインタビューをした際に「グラスゴーの音楽経済はどお?」と聞くと「んなもんないよ」と即答。音楽はもはや「商品」ではなく、それ自体が「通貨」なのだというビジョンを授けてくれた。


Laurie Anderson & Kronos Quartet
ハリケーンカトリーナをテーマにした音の社会派ドキュメンタリー。ローリー・アンダーソンは、かつて「私はいいジャーナリストでありたいだけ」と語っていた。既存メディアが弱体化するなか、音楽家が時代の語り部=ジャーナリストとなっていく。

Damon Locks & Black Monument Ensemble/ Where Future Unfolds
ゴスペルとファンクとフリージャズとが渾然一体となったパワフルなコミュニティミュージック。シカゴの音楽シーンで最も冒険心に富んだレーベル「International Anthem」のユニークな作品はいずれも必聴。録音芸術のあり方そのものをダイナミックに拡張しているの感。


Tomeka Reid Quartet/ Tomeka Reid Quartet
フリージャズが残してくれた遺産は、固有性、一回性といったテーマ、弾力的なアンサンブル=協調のあり方など、いまにして教えてくれることがたくさんある。その精神を継ぐ女性チェリストのサウンドは、いまの時代に適合する。ギターのメアリー・ハルヴァーソンのプレイにも注目。


Nejira/ Blume
勃興するサウスロンドンのDIYジャズシーンは人種も、性別も多様だ。女性のみによるジャズアンサンブルは、柔らかなホーンアンサンブルが美しく朗らか。きびきびとしていて気分が浮き立つ。


Dreamville/ Revenge of Dreamers Ⅲ
J.Coleが主宰したラップキャンプ。参加アーティスト総勢100人以上。そのときその場の創発によって生み出されたアルバムは、音楽が人と人とが交錯するダイナミックな力場であることを改めて教えてくれる。



【PLAYLIST】

NEXT GENERATION GOVERNMENTを想像するためのイメージソース

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NEXT GENERATION GOVERNMENT
次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方


企画・編集・執筆|若林恵
B5変型判/ソフトカバー/200ページ
本体1,800円+税
発売日|2019年12月9日
発行|株式会社黒鳥社
発売|日本経済新聞出版社

eガバメント、データエコノミー、SDGs、地方創生、スマートシティ、循環経済、インディアスタック、キャッシュレス、地産地消、AI、クラウドファンディング、ライドシェアから……働き方改革、マイナンバー、ふるさと納税、高齢ドライバー、「身の丈」発言、〇〇ファースト、災害、国土強靭化、N国党、Uber・WeWork問題、プラットフォーム規制、リバタリアニズム……さらにはデヴィッド・グレーバー、暴れん坊将軍、ジョーカー、ヒラリー・クリントン、メタリカ、カニエ・ウエストまで……縦横無尽・四方八方・融通無碍に「次世代ガバメント」を論じた7万字に及ぶ「自作自演対談」に加え、序論、あとがき、コラム32本を一挙書き下ろし! 企画・編集・執筆、全部ひとり!現場で戦う公務員のみなさんにお届けしたい、D.I.Y.なパンクムック‼︎

問い合わせ|株式会社黒鳥社
メールアドレス|info@blkswn.tokyo
ホームページ|https://blkswn.tokyo

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