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新婚旅行五日目 『洞爺湖の景色は絶景だったのか』

 釧路で迎える二回目の朝。今回の旅行で、二泊同じ宿に宿泊したのはこの釧路ロイヤルインだけだ。手ごろな価格で朝食も種類が豊富だったことと、駅近で何よりランドリーがあることが決め手だった。
夏の長期の旅にはランドリーは欠かせない。ちょうど旅の折り返し地点となるこの釧路で一回洗濯ができるだけで、荷物は半分近くまで減らすことができる。僕一人の旅なら、臭くなかったらいいと言いたいところなのだが・・・。
そしてまたまたここのホテルのスタッフの方もとても素晴らしかった。従業員さんの心のゆとりを感じられたのだ。朝食のバイキングなど一緒に取ってもらいながら、北の方言で気さくに話しかけてくれる。同じサポートを受けるにしても、会話の有無でその場の空気は大きく変わる。
ホテル業界は今どこも大変な状況の中、どうしてもぎりぎりの人員でやっておられるのだろうなと感じることは少なくない。もちろんそんな中でも配慮してもらえることは感謝しかないのだが、今忙しそうだからコーヒーは諦めようと思うことがないわけではない。なんの遠慮もなく人を頼っておきながら、一応気を遣ったりもするのだ。
今回の釧路ロイヤルインが実際にどうだったのか内情まではもちろんわからない。でもそうした心地よさを我々が感じたのは確かな事実である。
 釧路を後にして次の目的地は帯広である。帯広といえば六花亭の本店があることでも有名だ。そこのカフェに以前から一度行ってみたかったのだ。まったく、食べるか寝るか移動しかしていない。
こちらの店も、これまた我々にとっては大変立地の良い場所にある。帯広駅から歩いて十分なんて、もはや奇跡だここではお土産を買うという大事なミッションもある。
無事目的も達成し、念願のカフェで一休み。最高のカフェタイム、のはずだったのだが、どうも腹が痛い。間違いなく朝バイキングで欲張りすぎたせいだ。なんと勿体無い。念願の初六花亭カフェは腹痛の思い出とともに終わったのだった。
 駅に戻った我々は早々に帯広を出発。滞在時間僅か三時間。本当ならこの帯広でもゆっくり時間をかけて滞在したかったのだが、その後の工程も考えると今回はあきらめざるを得なかった。帯広にはまた改めて訪れたいと思う。
特急列車を南千歳駅で下車。これで道東をグルっと一周したことになる。
普通ならここで新千歳空港に戻り、いよいよ北海道とさよなら、となるところなのだが、それで終わっては自称ぐっちトラベルの名が廃る。いやそんなことはどうでもいいのだが、北海道フリーパスを最大限使い倒すためにも、今度は乗り換えて道南を目指す。この日の目的地は洞爺湖だ。
JRを洞爺で下車し、路線バスで揺られること約20分、この日の宿である洞爺湖観光ホテルに到着した。
 ここは今回の旅で最も温泉旅館らしい宿だった。なんといっても宿に入った時の香りがそれを実感させてくれる。年季の入った畳と温泉の硫黄が混じったようなにおい。もうこれだけで、気分も高まる。
和室の室内には奥にローテーブルと向かい合わせの椅子。そして大きな窓。きっとこの向こう側には壮大な洞爺湖の景色が広がっているに違いない。と適当に撮影した写真が今回の見出し画像にもなっているものだ。これは大正解だったようで、帰宅して友人に写真を見てもらって初めてそれがわかったのだった。こうしたタイムラグも、また我々らしい旅の楽しみ方なのかもしれない。
(続く)

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