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あなたがきっとどこにいても〜ミュージカル「青春鉄道」6を見ました〜

 ※ネタバレしてます。配信を買おう。


 ミュージカル「青春鉄道」6〜ハッピーレール大作戦〜を見ました。某X(旧ツイッター)を見た人は私の様子が可笑しい狂い方にびっくりしていることだろうと思うのだけど、東京公演は全15公演中13公演に乗車するという東武東上線準急(成増から先は全ての駅に停車いたします)もびっくりの乗車具合でした。
 私はこれが初めての鉄ミュであることに驚いています。いままで散々2.5次元の舞台は見に行っているのですが、こんなにもチケットを追加して、追加して、追加した舞台は初めてです。

 そもそも、私の中で青春鉄道との出会いは高校2年生の時、地元のローカル線の中で不意に見つけた「つながる青春」のPVがきっかけでした。そこから動画投稿サイト(ダメですよ!)から鉄ミュを知って、原作の青春鉄道にたどり着いた人間なので知っている時間だけは長い新規だったんです。タイミングが合わずに見に行かないだけで、JD-LIVEの動画や鉄ライをダイジェストだけで楽しんでいるような人間でした。
 鉄ミュをやっている期間と自分が青春鉄道にはまっている波が合わずにここまで来て、先日の地下ミュでちょうど波が合わさり、紆余曲折ありいまに至ります。

 鉄ミュはオムニバスで時代をいったりきたりしているものが多い中で、東海道に関する話に関しては一貫して時代の流れがそのままになっているのが舞台作品の作り方として面白いなと思います。
 そもそも今回の作品は東海道兄弟に関しては、時系列をその順番でたどることにより、より丁寧にレールが引かれているというか、このレールでここが見せ場ですよ、ここが終着点ですよというのを最初から決めて我々は走らされていたのかなと思います。
 でもそれは最初に言われていたというか。「目的地は一緒だよ、カーテンコールで大喝采」と一番最初に言うことで、この作品は絶対に「ハッピー」につなげるというある意味安易な終着点に持っていくという確固たる強い意思を感じました。
 そもそも鉄道というのは人を運び、物を動かすもので、そこにはそこに乗るものがなくては動けなくて、そのことが路線さんとしてのハッピーだとしたら、私たちがハッピーレールのハッピーの部分なのは納得のいく歌詞。

今回大きかったのは「過去作」とのネタ被りがなかったことで、黎明編も焦点が一箇所「東海道本線」に絞られていることで、今回の主演が東海道新幹線ではなく東海道本線であることを示しているなぁと思います。
明らかに座組としての主演やシンボル(座長)は兄さん(東海道新幹線)なのですが、話の主役はジュニアだったなぁと感じるのです。

点数をつけるのならば、100点満点をあげたいところですが、ぶっちゃけ熱に浮かされている部分もあるので、80点くらいかなと思います。私の普段の舞台評を知っている人はかなりの高得点だと思われると思います。過去一面白いのは確かなんですけど、これが初見の人にはちょい厳しい作品だったかなと思い80点くらいです。

ネタが古いのはいつも通りなのですが、そこで笑わなくても、きちんと笑えるポイントが準備してあるだけで面白いです。私は2.5次元の見方として鯨井さんがおっしゃっていた「2.5次元にはそこの場所に相応しいドレスコードがある」という考え方が大好きで、基本その場にあった感じ方をしようと心がけているのですが、ぶっちゃけ今回の笑いのポイントはドレスコードなしに面白いと思います。

今回、はじめて青春鉄道の一つの謎であった「ジュニアがなぜ、東海道新幹線の弟なのか」というものを丁寧に糸を解き、やっとみんなが「ジュニア」のことをわかるという構成です。
それから、はとちゃんの話を一切しなかったので、ジュニアのことをノンデリ(ノンデリカシーの人間)と感じることもデカかったと思うんですね。きっとこれから正面きって、ジュニアと満鉄の過去は書かなくてはいけないとは思うんですけど、そこをバッサリとカットして作中で「ジュニアの理想の兄」であり続けた東海道新幹線しか書かれていないため、受け入れられるシーンも多かったのかなと思います。

個人的には「鉄道150周年史〜東海道本線と青春鉄道の香りを添えて〜」みたいな作品だと思っているので、初見の人にお薦めするなら1→6か、鉄道の歴史を知っている人、原作を知ってる人、ある程度触れている人には6から見ても全然面白い作品だったなと思います。

あと良かったのは鯨井康介さんのお芝居なんですけど(みんな言ってる)、コメディもシリアスも楽しめる構成になっていたのは面白いです。鯨井康介欲張りセットになっていました。私が大好きだった「滝廉太郎」の成分も入りつつ、ボケとツッコミを織り交ぜつつ、年々仕上がっていく鯨井本線が好きです。そもそも喋れる役者が好きなので、十年前からわかっていたことでした。
鯨井さんが好きになりすぎて、彼の人となりと、演技と、演劇・劇場との出会いを寿いだファンレターという名前の怪文書を東京公演だけで5通送りつけ、千秋楽のあとの人狼も行きました。早着替えもお疲れ様です、若手の暴走につきあう鯨井さんからしか得られない感動と笑いがあります。

キャラクターに焦点を絞っていうと武蔵野線役の佐藤祐吾さんが初登場期待の星すぎて鉄ミュにずっと出てくれって思いました。捕まえていて欲しい。
ツッコミはもちろんですが軌道修正力が強い。東上の手綱をうまく握って、ハピバス4の有楽町へのツッコミも良かった。
毎回知ってるのに「で〜も〜ね〜とうじょう〜」を待ってしまう自分がいる。古のニコ厨のため赤文字下固定で「とてもいきなりミュージカル」と流してしまいたくなります。

ハピバス2のがにゃがにゃ〜の言い方をするジュニア、ハピバス3の山陽の女装もとても良い。ジュニア全部のせ、この「在り方」もジュニアが求めた在来との関わり方なんだろうな〜と思います。
山陽とジュニアの在り方もその別の在り方や生まれの違い。愛されて愛してそうして育った山陽鉄道くんと、自分で背負わされてしまったジュニアくんとかの違いもまた書きたいなぁと思います。

吉澤の翼の子守唄が好きです。「SCRAP AND BUILD」の言い方とか、山陽新幹線って歌っているところとか、最後の神戸駅(ジュニアと陽本線の落ちサビ)の「知ってる、俺は知ってる」の時の顔とかも大好きです。彼の冷静なのに少し子供っぽくて言われたことを素直に受けれて、愛されて育ったんだなぁと感じる山陽鉄道くんが大好きです。

永遠に続いていてほしい鉄ミュ6
もう終わってしまうのが寂しい〜〜〜〜永遠に終わらないで鉄ミュ6〜〜〜〜〜。ずっとハッピーレールのハッピーの部分でいたいよ〜〜〜。EDであんなに泣きながら拍手をするとは思わなかった。いつも新鮮な気持ちで笑って泣いて、ハッピーな気持ちで銀劇を後にできました。本当に大好き。

「それでも150年前からずっと、みんなを運ぶために」
それがジュニアの本分だったんだろうと思います。ジュニアのアイデンティティは兄さんを支えることじゃなくて「日本の鉄道の礎であり、日本の発展を支える男」だと思っているので、それがこの短い一文に込められていてあそこの落ちサビで泣いてしまう。拍手なんてできない。

神戸公演4公演しかないの本当に寂しい。
私はどうなるのか、みんなはどうなるのか!乞うご期待!!

みんなもハッピーレールのハッピーの部分になろう!!!!

きっとどこにいても鉄道っていう自分の身近にあるものを楽しめる人、日本のどこかにある鉄道というものを楽しめる人はこのミュージカルを楽しめるんじゃないかなと思います。
いろんな想いやいろんな歴史をいろんな視点で感じながら、どこにいてもなにをしてようと、きっとこの路線さんたちがいる限り、つまりはそれを使う私たち(ハッピー)がいる限り、永遠に続いていくのかもしれない。作戦名はハッピーレール、それはリニアなのか延伸なのか3セクなのか、未来につながる作戦名だなぁと思いました。



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